アウトドア風「JOY」登場で王者N-BOXはさらに強くなる!!……のか?

アウトドア風「JOY」登場で王者N-BOXはさらに強くなる!!……のか?

 2024年9月26日、ホンダは同社の人気軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」に、新たに「N-BOX JOY」を追加設定、翌27日より発売を開始すると発表した。

 多様化の時代に、アウトドアを手軽に楽しめる道具として、また自分だけのくつろぎの空間を確保したいというニーズに応えるクルマを目指して開発されたというN-BOX JOY。「軽スーパーハイトワゴンのSUV風」といえば、スペーシアギアから始まり、タントファンクロス、デリカミニなどが参戦するいま注目のカテゴリ。今回のN-BOX JOYの登場は、ライバル車たちとしても、脅威に感じていることだろう。

 はたして、N-BOX JOYの登場でN-BOXはさらに強くなるのか!?? N-BOX JOYの詳細をご紹介しながら考えてみよう。

文:吉川賢一/写真:HONDA、DAIHATSU、SUZUKI、MITSUBISHI

【画像ギャラリー】ついに登場!! 絶対王者によるSUV風 ホンダ「N-BOX JOY」(12枚)画像ギャラリー

専用装備が多いわりにはリーズナブル!!

 いま日本でもっとも売れているクルマである、ホンダ「N-BOX」。今年2024年も1月~8月の8か月間で登録台数13万台超、月間平均16,500台を記録しており、年間20万台を超える勢いだ。

 そんな大人気モデルにいよいよ追加されたクロスオーバー仕様であるN-BOX JOY。通常版N-BOXとの違いは、エクステリアに、プロジェクター式フルLEDヘッドライトやブラックとボディーカラーのコンビネーションバンパー、専用ホイールキャップ、ドアロアーガーニッシュ、ブラック塗装仕上げのリモコンドアミラーとアウタードアハンドルなどを専用装備し、インテリアにも、チェック柄の撥水ファブリックを、シート表皮だけでなくフロントシートアームレストやリアシート背面、スライドボード上面にも配置したなど。N-BOX/N-BOX CUSTOMに対してフロア後端を80mm高くして足を伸ばせるようにした「ふらっとテラス」なども特徴的だ。

 車両本体価格は、N-BOX JOY(NA、FF、モノトーン)で税込184万円、2トーンの場合は197万円から。N-BOX(NA、FF)が税込168万円から、N-BOX カスタム(NA、FF)で186万円からなので、JOY専用装備品が多数ついている割には、リーズナブルといえるかもしれない。もちろんHonda SENSINGは標準装備だ。

ブラックとボディーカラーのコンビネーションバンパー、専用ホイールキャップ、ドアロアーガーニッシュ、ブラック塗装仕上げのリモコンドアミラーとアウタードアハンドルなど、各所へ専用パーツが装着されている
ブラックとボディーカラーのコンビネーションバンパー、専用ホイールキャップ、ドアロアーガーニッシュ、ブラック塗装仕上げのリモコンドアミラーとアウタードアハンドルなど、各所へ専用パーツが装着されている
チェック柄の撥水ファブリックを、シート表皮だけでなくフロントシートアームレスト、リアシート背面、スライドボード上面にも配置
チェック柄の撥水ファブリックを、シート表皮だけでなくフロントシートアームレスト、リアシート背面、スライドボード上面にも配置

ただ、ライバル車たちよりも「ウリ」が弱いかも

 ホンダによると、N-BOX JOYの販売計画台数は月間3,000台。タントファンクロスやデリカミニ、スペーシアギアなどのライバル車を検討していたユーザーをかっさらっていく気が満々に思える計画台数だ。しかしながら、N-BOX JOYがこのホンダの思惑通りに売れるかというと、筆者は微妙だと考えている。おそらく、N-BOX JOYが増えたぶん、標準車やカスタムが減り、N-BOX全体としてはさして変わらないのでは、と思うのだ。

三菱「デリカミニ」。4WDは車高を上げて、オフロード走行に合わせて専用チューニングしたリアダンパーを装備している
三菱「デリカミニ」。4WDは車高を上げて、オフロード走行に合わせて専用チューニングしたリアダンパーを装備している

 このカテゴリは、どのモデルも各社がユーザーの嗜好に合わせて考え抜き、キャラクター付けがされている。たとえば、オフロードの走行性能に関しては三菱「デリカミニ」(の4WD)が有利だ。4WDのみではあるが、車高を上げて専用ダンパーチューニングを施すなど、足回りにコストをかけている。N-BOX JOY登場のちょうど一週間前にフルモデルチェンジをしたスズキ「スペーシアギア」も、丸目ヘッドライトや縦スリットのフロントグリルなどが、軽オフローダーの王者である同社の「ジムニー」をイメージさせ、ワイルドで魅力的。ダイハツの「タントファンクロス」も、助手席側センターピラーレスのミラクルオープンドアのおかげで、荷物の載せ下ろしはダントツでしやすい。

 N-BOX JOYにも、ベースであるN-BOXのつくりのよさや、センスのいい内外装デザインという魅力はあるが、これら3モデルの個性と比較してしまうと、N-BOX JOYを選ぶ必然性に欠けるような気がする。もちろんN-BOXのつくりのよさというは大きな魅力には違いないのだが、こうしたクロスオーバーSUV風を求めるユーザーが注目する特別感がN-BOX JOYからは感じにくいように思われるのだ。

2024年9月20日にデビューした2代目スペーシアギア。ジムニー風のヘッドライトや縦スリッドのフロントグリルを装備しており、オフロード感に溢れたデザインを採用している
2024年9月20日にデビューした2代目スペーシアギア。ジムニー風のヘッドライトや縦スリッドのフロントグリルを装備しており、オフロード感に溢れたデザインを採用している

次ページは : 既存のN-BOXユーザーがライバル車に流れてしまうのを引き留められればよいのかも

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