■信号の詳細情報がタブレットに!
車両は軽自動車くらいの大きさであろうか。片方に両開きのドアが取り付けられている。ガラス部分が多いので前後広く見渡せることができるが、右側の扉に向かい合う場所に大型の液晶パネルが取り付けられており、四日市の観光情報などが流れていた。
またこの翌週には四日市市で2023東海・北陸B1グランプリin四日市が開催されるということで、車両にはラッピングが施されており車内には四日市市のゆるキャラである「こにゅうどうくん」のぬいぐるみが置かれていた。
しばらく待っていると中央通りの並木道の向こうから、かわいいもう1台の車両がやってきた。先程の車両は前面が赤系統のラッピングであったが、こちらは青系統のラッピングだ。乗車手続きを行い早速乗り込む。帰りは親子連れの2人と、3名での乗車であった。
出発時間になり車両が動き出し、車内で乗務員にタブレットを見せてもらった。そこには、この先の信号機名と信号機のイラスト、そして秒数がカウントダウンされていた。
聞けば、この先にある信号機の赤または青になる残時間が表示されていて、その情報を受けた車両が交差点へ適切なタイミングで入れるように、また急ブレーキにならないように調整しているのだという。
まだ全ての交差点でこの情報が得られるわけではないそうだが、自動運転には必要な情報であろう。
■ここでなんとトラブル発生!
また市役所が近くなってきた。道路反対側は裁判所前という名称のバス停になっていた。ここでも2名の乗務員は交代となるわけだが、行きにはバス停にいた2人がこちらには誰も立っていなかった。
どうやら交代乗務員の到着が遅れているようで、車内には少々お待ち下さいというアナウンスもあった。これは車内の様子をカメラでモニタリングしており、市役所内の遠隔監視をしている係員がマイクを使って車内にアナウンスしているということであった。
常にカメラで見られているということについては、やや抵抗を感じる人もいるかもしれないが非常時の対応で必要な装置なのだ。5分ほどで乗務員が走ってくる姿が見え出発となった。しかし今度は50mほど走行したところでブザーが鳴り急制動がかかり停止した。
幸い乗車時にシートベルトの着用を伝えられていたので事なきを得たが、浅く腰掛けていたり、立っていたらどうなっていただろうかと少し不安になった。再び動き出した車両は近鉄四日市駅に無事到着した。降車後アンケートをスマホで回答し今回の乗車体験は終了となった。
■技術は進んでいるが実用はまだまだ先?
今回は未来の乗り物になるかもしれない自動運転技術を使ったバスでの実証実験に参加した。この実証実験の期間中には小型モビリティやパーソナルモビリティの乗車体験も行われ、また自動運転車両を使用して市内を巡るデジタルスタンプラリーなども開催され様々な取り組みを行っていた。
完全に無人での自動運転というわけではないが、誰の操作もなく動き出し信号では停止し、目的地まで運んでくれるというのはとても魅力的なモビリティに感じることができた。
ただ乗り物としてみた時に目的地までかかる時間や乗り心地、また今回は小さいトラブルもあったので、まだ安定性や安全性を達成するにはハードルが高そうにも思えた。四日市市では11月1日~19日まで実証実験が行われたが、そのアンケート結果や運行のデータなどを検証して、将来の自動運転の実現に向けて引き続き取り組みを続けていくのだろう。
運転士不足の切り札として見る場合は、自動運転だけでは意味がなく無人運転まで実用化されないと解決にはつながらない。その観点で見た場合はまだ遠いということになろうし、実験でも速度が出せないのではあまり実用性はない。しかし技術革新は着実に進んでおり、いつの日にか実用化される完全自動無人運転に期待したい。
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