■路線バスは絶滅危惧種に?
では、プラハの路線バスは縮小傾向にある斜陽の乗り物なのかというと、そういうわけではない。プラハ交通局は、今後もディーゼルエンジンの路線バスを継続的に導入していく考えを示しているが、その理由は「電力供給がストップするという万が一の事態に備えるため」というもの。
ロシアによるウクライナへの侵攻では、発電所が襲撃されるなど、ウクライナの電力事情にも大きな影響を与えた。また現在も火力発電が主流のチェコにおいて、発電用燃料費の高騰は深刻な社会問題となった。
いつ起こるかも分からない「不測の事態」に備え、電力一辺倒ではなくエネルギー源の種類を分けて持つように心掛けている点は、「ぜんぶ電気にシフトさせて環境に優しい国を作ろう」という、描いた餅ばかりを叫ぶ西側諸国とは異なり、より“現実的”な視点を持ち合わせていると言えよう。
■プラハを走るバスの車種って?
現在プラハでは、12m単車体および18m連接タイプの大型路線車のほか、狭隘路線向けに7.5mナローボディ中型車が活躍している。車両のメーカーは地元SOR製が主力となっている。
SORは、元々農機具やトラクターなどを生産していた国営企業を1991年に民営化、バス生産を始めるようになったという異色の経歴を持つ新興企業で、現在は100%フルフラットの車両を導入している。
かつては、同じ地元企業のカローザ(伊イヴェコ傘下/現在はイヴェコに吸収)など他車種もいたが、SORへ統一傾向にあった。
しかし近年は、ポーランドのソラリス製「ウルビーノ」シリーズや、最近ではイタリアのイヴェコから「アーバンウェイ」といった各種路線車も導入するようになり、バラエティが増えつつあるようだ。
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