■「残すべきもの」と「変えていくもの」がハッキリしているカローラ
国民車のカローラだからこそ、日本仕様の良いところは守り抜かなければならない。質感や落ち着き、そして比較的安価な価格設定などは、各世代で守り続けた魅力だ。モデルチェンジを幾度も繰り返しながらも、残すべき価値を認識し、後世に引き継いできた。
モデルチェンジが保守的に見えるカローラだが、しっかりと変化もしている。2000年に登場した9代目は、「変われるって、ドキドキ。」というキャッチコピーを用いて、大きなデザイン変更を主軸にした。
10代目では、国内でカローラアクシオを発売し5ナンバーセダンを維持する一方、海外仕様では国内仕様とは異なるプラットフォームを用い、ボディサイズを全長130mm、全幅65mm、全高30mm大きくしている。それぞれのニーズに合わせたクルマ作りが、ここに見える。
また、カローラには派生車が多い。セレス、レビン、ランクス、フィールダー、スパシオ、ルミオンと懐かしい名前が並ぶ。現在は、スポーツ、ツーリング、そして先日発売されたカローラクロスが、カローラの派生車としてラインナップされているわけだが、こうした派生車は、カローラが変化を受け入れた結果生まれた結晶である。
現行型では3ナンバーになったカローラだが、この変化も他車に比べれば遅かった。日本人が全幅の大きいクルマに慣れるまで、自身の姿を変えずに待っていたようにも思える。結果として、大きくなったカローラにも、日本人は初代から続く安心を感じる。カローラが守りたかったものは、現行型でも変わらずに残っているのだろう。
さらに5ナンバーセダンのアクシオは廃止せず、予防安全パッケージなどを拡充させながら販売を続けている。他車では即座に消えてしまいそうな派生モデルだが、カローラは違う。アクシオを求めるユーザーが、ほぼゼロになるまで売り続ける覚悟があるはずだ。
こうしたユーザー目線が、カローラという名前をブランド化し、カローラというだけでその価値が分かる存在へと引き上げていった。世界で一番、乗り手・使い手の事を考えているカローラは、地球上でもっとも愛されるクルマになったのである。
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