冬本番を迎えたこの季節、雪国に住む人にとっては当たり前の装備である、スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤですが、雪が多くない地域に住んでいる人の場合は、1年中ノーマルタイヤ(夏用タイヤ)のまま、ということも少なくないでしょう。
もちろん雪が降っていなかったり、路面が凍結していなければ問題ないのですが、突然の雪に見舞われた際にノーマルタイヤのまま走ってしまうことは、危険であることはもちろんのこと、多くの地域では道路交通法に違反する行為であること、ご存じでしょうか。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_Kirill Gorlov/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】雪が降る日にノーマルタイヤで走るのは違法です!!!(7枚)画像ギャラリー沖縄を除く地域では、公安委員会遵守事項違反となる
雪道や凍結路をノーマルタイヤのまま走行することについては、沖縄県を除く全国の都道府県において、道路交通法施行細則または道路交通規則によって「滑り止めの措置を講ずること」と定められています。
内容については都道府県によって多少の違いがあり、たとえば群馬県の場合は、道路交通法施行細則第25条の9において、「積雪又は凍結のため滑るおそれのある道路において自動車又は原動機付自転車を運転するときは、前又は 後の駆動輪のタイヤに鎖等の滑り止め装置を施し、又は雪路用タイヤを用いること。」とされており、東京都の場合は、道路交通規則第8条の6において「積雪又は凍結により明らかにすべると認められる状態にある道路において、自動車又は原動機付自転車を運転するときは、タイヤチェーンを取り付ける等してすべり止めの措置を講ずること。」とされています。
これら都道府県道路交通法施行細則や道路交通規則に違反することは、道路交通法第71条の6「(車両等の運転者は)道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項(を守らなければならない)」に違反する行為であり、道路交通法違反となるのです。違反したとされれば「公安委員会遵守事項違反」となり、反則金6,000円が科されます。
雪道・凍結路では、ノーマルタイヤは「走れても止まれない」
ノーマルタイヤは、乾いた路面やウェット路面でタイヤグリップを発揮できるようにつくられているタイヤです。平坦な雪道では、ノーマルタイヤでもゆっくりと発進すれば進むことはできますし、スピードを上げていくことも可能ですが、問題が起こるのが減速時とコーナリング時。
JAFの実験でも、雪道でのノーマルタイヤは「走れても止まれない」ことが実証されています。雪が踏み固められた状態の路面(圧雪路)と凍結した路面(氷盤路、アイスバーン)で、時速40kmから制動した時の、停止するまでの距離を比較したところ、圧雪路では、ノーマルタイヤはスタッドレスタイヤの約1.7倍も制動距離が長くなったそう。
スタッドレスタイヤなどの冬用タイヤは、路面上の水分を吸着し、雪面を引っ搔いてグリップを得るように、トレッド面に特殊なゴム素材や立体構造が導入されています。ノーマルタイヤとは性質が全く異なるのです。
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