これから数ヵ月は冬の路面を走る季節。暖かい日が続いていても、突然大雪に見舞われることも少なくありませんし、降雪地域や寒冷地ではなくても、日陰ができやすい山間部の道や、風が吹き抜けやすい橋の上、トンネルの出口などは路面が凍結しやすく、スリップして初めて「凍結」に気づく、ということも。凍結路では、たとえスタッドレスタイヤであっても、ひと度スリップが起こると、クルマが制御不能となってしまいます。
もしも凍結路でタイヤが滑ってしまったら、どう対処したらよいのでしょうか。また、駆動方式によって違いはあるのでしょうか。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_naka/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】クルマが滑ったら…どうする?? 凍結路面で滑ったときの対処法(5枚)画像ギャラリーFFでもFRでも4WDでも、スリップしてしまったら、ドライバーにできることは少ない
サマータイヤで走るのは論外ですが、冬用タイヤを履いていても4輪が滑ってしまったときには、ドライバーにできることは少ないです。ラリーカーのようにカウンターステアを決めてスピンモードから脱出するというのはまず不可能。彼らはグリップ限界を超えない範囲で、速度をコントロールして運転しており、凍結路面で完全に滑ってしまった場合とは異なります。
特に、下り坂や平坦路でスピードを出していて、駆動輪が左右両方とも滑ってしまった場合は、タイヤが地面を掴むことができていないため、焦って急ハンドルをしたり、アクセルペダルやブレーキペダルを踏んでもクルマが反応することはなく、むしろ、グリップの復帰を遅らせることに。他車を巻き込まないようにと祈りながら、グリップが回復するのを「じっと待つ」のが正解です(グリップが回復すると、軽くなっていたハンドルに手ごたえが戻り、ハンドルを切った方向へクルマの向きが変わります)。これは、FF(前輪駆動)でもFR(後輪駆動)でも4WDでも同じです。
グリップが回復したら、ブレーキペダルを強く踏みこみます。昨今のクルマには、ブレーキを自動制御して体制を立て直すVSC(車両挙動安定装置)がついており、この機能を活用するのが、もっとも有効かつ安全。「ガガガ」という音とともに、減速しつつクルマの向きを変えられるようになりますので、回避行動をとってください。その際も、ハンドル操作はゆっくりすることが重要です。
ただ、上り坂で、駆動輪の左右片側が空転しているときは、「ブレーキLSD」によって登坂が可能かも
ただ、勾配がきつい上り坂で、駆動輪の左右片側が凍結路面に乗り、タイヤが空転して上れなくなった場合、クルマが左右どちらかへ流されるようならば、ハンドルを、進みたい方向に少しだけ切ってみるといいでしょう。
このとき、多めにハンドルを切ってしまうと、グリップが回復したときにクルマの向きが急激に変わってしまうため注意が必要。昨今は、 ABSのセンサーを利用して、駆動輪の空転を検知すると、空転している駆動輪にブレーキをかけて、もう一輪の駆動力を確保する「ブレーキLSD」を備えたクルマが多くありますので、登坂が可能になるかもしれません。こちらもFFでもFRでも4WDでも同じです。
コメント
コメントの使い方正しい事、伝えるべき必要な事を書いてある有益なページだと思います。
自分も氷結湖などで滑らせて練習してきて、滑ってもコントロール可能と過信してしまいがちですが、状態が全然別物だということを心に刻んでおかないといけませんね。