毎年のように発生している、大雪によるクルマの立ち往生。たった1台でも、クルマがスタックしてしまい、車線を塞ぐように動けなくなってしまうと、後続車は動くことができず、クルマが走れなくなることで道路にはどんどん雪が積もっていき、状況はどんどん悪化。場合によっては、何時間もクルマのなかで過ごすことにもなってしまいます。
立ち往生となってしまうと、飲食やトイレなども不安な要素ですが、同時にガス欠も問題。より深刻なのはBEVです。ガソリン車やハイブリッド車とは異なり、BEVは暖房(エアコン)を使うと電力を大量に消費してしまうため、あっという間に電欠に陥ってしまうのは、BEV乗りならば想像がつくと思います。
もしもBEVが雪の夜に立ち往生に遭遇してしまったらどう過ごせばよいのか、備えておきたいものとともに、ご紹介しましょう。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_smile/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】命の危険もあるBEVでの大雪による立ち往生 対策は?(8枚)画像ギャラリーBEVでの大雪の中の立ち往生は、寒さとバッテリー残量との戦い
BEVで暖房を使用すると、航続距離がとたんに目減りします。また電力の消費も大きいため、数時間の立ち往生ならばまだしも、夜を越すほどの長時間、暖房をつけて過ごしてしまうと、あっというまに電欠という事態に。
ただ、電欠はBEVにとって全力で避けたい事態。万が一燃料が尽きても、携行缶で簡単に補給できる純ガソリン車やハイブリッド車とは違なり、電力を補給しなければならないBEVの電欠はかなり面倒だからです。
BEVも、ガソリン車同様に、JAFに救援要請すればEV充電サポートカーがかけつけてくれますが、JAFによると、EV充電サポートカーは、まだまだ導入台数が少なく、充電できる電力も、近くのステーションまで移動できる程度とのこと。また、1回に1台のBEVしか救援できず、1台救援した後は、一度戻って充電しないと次の救援ができないそうで、BEVはJAFに救援要請をしたところで、安心できる電力を充電することは難しいのです。
そうはいっても、雪で立ち往生しているクルマの中の寒さは耐え難いもの。BEVでの立ち往生は、「寒さとバッテリー残量との戦い」なのです。
エアコンの設定温度を低くしたり、暖まったら消す、などの工夫が必要
どのくらいの時間、BEVで暖房をつけていられるかについては、そのBEVの車種や世代(エアコンがヒートポンプシステムか否か)やバッテリー容量(バッテリー残量)、また外気温やエアコンの設定温度などによって違ってきますが、参考になるのは、バッテリー残量58%のBEVで、エアコンを25度に設定したものと、18度に設定した場合では、25度に設定した車両では5時間後に20%まで低下したのに対し、18度に設定した車両では5時間後も40%残った、という北見工業大学による実験結果。
ただ、エアコン18度設定の車内はかなり寒いと思われ、立ち往生解消後に充電ステーションまで移動することを考えると、やはりできる限りバッテリーの消費は抑えたいところ。そのため、寒さが厳しくなったら暖房をONにして、暖を取ったらまたエアコンを消す、という工夫が必要かもしれません。また、電力消費がエアコンよりも抑えられるシートヒーターを積極的に使い、また、毛布やカイロなど電源に依存しない防寒対策も必須です。
お薦めなのは充電式カイロ。手先や足先といった身体の末端を温めることができ、なおかつ消費電力が少なく、充電式カイロのなかには、モバイルバッテリーとして活用できるものもあるので、スマホの充電もすることができます。
コメント
コメントの使い方一番重要な対策は、「BEVには乗らない」じゃないだろうか?「BEVは買わない」でも可。
オイラはPHEV乗りです。