ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は2014年の企画「スーパーハッチ王座決定戦」より、『欧州のスーパーハッチTOP10』をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2014年3月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:鈴木直也
■1位は初代VWゴルフGTIを選出!

さて、いろいろ考えながらトップ10を選出したんだけど、1位には迷うことなく初代VWゴルフGTIを選んだ。
当時、日本には正規輸入モデルが導入されなかったんだけど、ボクの友達がこれの並行輸入モデルを乗っていたんだよね。で、それを運転させてもらったワケなんだけど、これが実にすばらしかった。
だってもとはFFの2BOXハッチバックで経済的な大衆車なワケ。それに対し、このGTIは高級スポーツに近い値段で当時は販売されていた。
それが100psの1.6L SOHCを積んで、もともと軽量だったこともあるけど、驚くほど乗り味がよかったんだよね。ただのホットバージョンじゃないという仕上がりでさ。
大げさに聞こえるかもしれないけど、もはやグランドツーリングカーのような圧倒的に質感の高い走りで、よくその頃言われたような「大人が乗れるホットハッチ」そのものだったんだよね。
高い価格に見合っただけの走りの質感を持った「最初で最後の真のGTI」が、初代ゴルフGTIだといっても過言ではないと思う。
2位には決してホットハッチの王道ではないが、ルノー5ターボIを選んだ。

ベース車は欧州のベストセラーカーであるコンパクトのルノー5だったけど、これが出た瞬間、「えっ! こんなのありかよ」って思ったもの。
FFなのにミドに1.4Lエンジンを搭載して、ボディなんかもベースとはぜんぜん別物でしょ。そのインパクトだけなら1位のゴルフGTIをはるかに凌いでいたね。
その成立ちはいびつだったかもしれないけど、こいつのロードカーは掛け値なしに楽しかった。2WDだからチューニングも容易だったし、ピーキーな1.4Lターボをねじ伏せてコントロールする楽しさもあった。ミドシップの2WDだから基本はアンダーが強かったんだけど、それを自分の腕で克服する面白さが味わえたんだよね。
そういった意味では、プジョー205ターボ16やランチアデルタS4のロードカーはノーマルで乗ってもこの5ターボほど楽しくはなかった。
3ドアHBをベースにレースカーを作るというのは、グループBの主流になったけど、この5ターボの存在がそれだけ偉大だった証拠。
さて、3位には現行モデルからプジョー208GTIを選出。
なぜかというとこのクルマ、絵に描いたようにかつてのホットハッチと呼ばれたクルマたちが持っていた楽しい部分をすべてモダナイズして持ち合わせているから。

唯一、3ペダルMTだけが古典的な部分として残されているけど、これに比べたら5位のルノールーテシアR.S.はデイユースに寄りすぎた部分が惜しいかな。ふだん街乗りするぶんには充分楽しいけどね。
4位にはWRCグループAのホモロゲモデル、ランチアデルタインテグラーレをランクインさせた。
ロードカーとしてのスポーツ度が高く、エボやインプのような「ガキっぽさ」がなかった。シャシーやハンドリングがとにかく気持ちよかったのを覚えている。
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)











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