2025年3月、日産は4月1日付けの役員人事を発表した。内田誠社長が退任し、後任として商品企画責任者のイヴァン・エスピノーサ氏が就任。新社長となるエスピノーサ氏がまずやらなければならないこととはいったい何か?
※本稿は2025年3月のものです
文:佃 義夫(佃モビリティ総研代表)/写真:日産、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年4月26日号
日産の新社長にイヴァン・エスピノーサ氏が就任
2025年3月11日、日産は4月1日付けで内田誠社長が退任し、後任に現在の商品企画の責任者である、チーフ プランニング オフィサー(CPLO)のイヴァン・エスピノーサ氏が就任することを発表した。
内田社長の退任は、業績悪化を招いた経営責任と、ホンダとの経営統合“破談”に起因する事実上の解任であるといえる。
次期社長に選ばれたエスピノーサCPLOはメキシコ日産入社からタイ日産など子会社を経て、2016年に日産本社に入社し、商品企画畑で一気に頭角を表した人物。46歳と日産役員陣で最も若い。
今回、内田社長の退任とともに、3人の副社長、そして経営企画担当の渡部英朗氏が退任する。
これは46歳で経営者としては未知数ながら、エスピノーサ日産体制への経営陣刷新を図るもので、ゴーン体制末期から抜け出せずに続いた状況から、ようやく切り替えを図ったことになる。
今回の日産経営陣の刷新を分析すると、残念ながら内田日産の5年間は結果的に落第点と言わざるを得ない。ホンダとの経営統合もまとめられず、事実上の解任はやむを得ない。
内田社長を中心とする集団指導体制は、開始から副COOである関潤氏の離脱で崩れ、2023年には右腕だったグプタCOOの突然の退任など、日産再生・ブランド回復へ一丸となれなかった。結局、ゴーン末期のツケ(ムリなグローバル拡大路線)を解消できなかったのだ。
仏政府がバックにあるルノーやゴーン時代に招聘した社外取締役が依然、残っている取締役陣も一新して真のガバナンス強化を求める声も強い。
いずれにしても46歳のエスピノーサ日産体制が4月の新年度とともにスタートする。すでに中間期で無配、今通期で赤字転落という日産の自力再生は成るのか。
あるいはホンダとの再協議や鴻海(ホンハイ)など他のテック企業などとの提携を進めて生き残り再生で成長に結びつけていくのか。正直、現時点での見通しは不透明だ。
エスピノーサ次期社長は“日産愛”を強調し、フェアレディZを愛車として駆るカーガイとされる。日産新体制は、厳しい船出が待ち構えているなかで経営の執行を(特に新社長の得意とする新車企画で)スピード感をもって断行することが求められよう。










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