すでに絶版モデルとなって久しい日産 キューブ。しかしその愛嬌のあるルックスや運転のしやすいスクエアなボディで根強い人気があり、新型を求める声も定期的に聞かれるモデルとなっている。そんなキューブは現在のところ3世代が存在しているのだが、2代目モデルにのみ派生車種がラインナップされていた。それが「キューブキュービック」と呼ばれるモデルである。
文:小鮒 康一/画像:日産
【画像ギャラリー】意外にバリエ豊富だね!? かわいいからちょいワイルドな見た目まで!! 特別仕様も地味に多かったキューブキュービック (16枚)画像ギャラリーキューブ史上唯一の3列シートモデル
このキューブキュービック、車名の表記は立方体を示す“3”が与えられており、立方体という意味のほか、3列シート車であることも示したダブルミーニングな車種名となっていた。
通常のキューブはご存知の通り2列5人乗り仕様であるが、キュービックは3列目に2人分の座席をプラスしており、フル乗車で7人分の座席が用意されていた。
一見すると通常のキューブと同じようにも見えるが、実はホイールベースが延長されており、それに伴ってリアドアも延長。そのため、通常のキューブと並べてみるとやや胴長なスタイルとなっている。
当然ながら延ばされたホイールベースは室内長の拡大に寄与しており、そのおかげでなんとか3列シートをコンパクトなボディに収めることができたというワケだ。
ただ実際の3列目シートは非常にミニマムで、子どもならまだしも大人が長時間座るのは厳しいと言わざるを得ないサイズで、この辺りは近年のコンパクトミニバンとは異なる部分と言えるだろう。
かゆいとこに手が届くには届くんだけど……
ではキューブキュービックの存在価値はどんなところにあるのかというと、それは「いざというときに+2人乗れる」という点に尽きる。
もし常に3列目シートを使用するというユーザーであれば、セレナや当時ラインナップされていたラフェスタを選ぶことが一般的であり、キューブキュービックを選ぶユーザーは普段は2列で十分だけど、極稀に5人以上乗せることがないワケではないというユーザーにマッチするのだ。
例えば、普段の子どもの送迎では5人乗れれば十分だけど、急な雨などで子どもの友達などを乗せる場合は3列目シートがあると便利、というようなケースである。
それ以外では3列目シートは格納しておけば通常のキューブのようにトランクスペースで使用することができるし、ホイールベースが延長されていることで2列目シートの足元も広々。そしてロングホイールベースが故に直進安定性も高まっているという副産物もある。
とはいえ全長は4m以下に収まっているので、全長がキューブよりも長いからといって極端に取り回し性が悪化するということもないハズだ。
このように一見中途半端にも見えるキューブキュービックだが、実は美点も多くあるモデルとなっていたのだが、イマイチその辺りが評価されにくかったのは残念としか言いようがないのである。


















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