VWの商用車部門が手掛けた骨太感が各所に感じられる(渡辺敏史)
ID.BuzzはVWの商用車部門が手掛けたクルマだ。内外装ともに見た目はタイプ2を思い起こさせるポップな仕立てだが、実物に触ると端々の骨太感がその出自を感じさせる。
最も象徴的なのはシートだ。アレンジ能力や操作性は日本のミニバンに及ばないが、本体の骨格剛性や支持取り付け点の頑強さなどは日本のミニバンとは一線を画している。
当然ながら走りに与するところも大きく、MEBプラットフォームの最大物件にして、乗り味から得られる塊感もなかなかのものだ。
モーターのパワーは必要にして充分で、発進時にはじんわりとトルクを後輪に伝えつつ、踏み込みに応じてリニアに応答してくれる躾のよさが手練れの仕事を感じさせる。
同様にブレーキにも癖がなく、じわっと止めることも難しくない。試乗したロングボディは2.7tを超える重量ゆえ、曲がる止まるに配慮は求められるが、交差点を曲がる際などは後輪駆動のよさが活きて、予想外に回頭性が軽やかだったりもする。
頑張ったものの、値段が高いとか電費イマイチとか、ネガも散見されるのは確かだ。でも、この成り立ちや容積をしてBEVというニーズに応えたのが輸入車だったというくだりは示唆に富んでいる。
日本もそろそろBEVについては実地での経験値の蓄積を意識すべき時にきているように思う。
●渡辺敏史氏の採点チェック
・ハンドリング:8点
・加速性能:7点
・乗り心地:7点
・静粛性:9点
・内装の質感:7点
・コストパフォーマンス:7点


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