今後は内燃機関どうなっちゃうの!? 今乗ったら楽しいエンジンってなに

今後は内燃機関どうなっちゃうの!? 今乗ったら楽しいエンジンってなに

 前編&中編では、昔と今のエンジンの違いに始まり、姿を消した超官能エンジンを惜しみながらも話が弾む鈴木直也氏、片岡英明氏、松田秀士氏のお三方。後編では「官能エンジン」に限らず、個性的なエンジンの話題に花が咲いた!!

※本稿は2025年9月のものです
文:ベストカー編集部/写真:中里慎一郎、スバル、トヨタ、ダイハツ
初出:『ベストカー』2025年10月10日号

【画像ギャラリー】二人のハートを揺らしたのはどのクルマだ!? 現代の官能エンジン車5台を片岡英明氏&松田秀士氏が評価!!(40枚)画像ギャラリー

技術進化すると個性が消えていく

スバル WRX S4は水平対向エンジンを搭載しているにもかかわらず、水平対向らしい個性は薄い
スバル WRX S4は水平対向エンジンを搭載しているにもかかわらず、水平対向らしい個性は薄い

片岡「スバルの水平対向はせっかくの個性なのに、効率を追求して等長、等爆にしたことで、ドコドコ鼓動を発していた水平対向らしさが消えてしまいました」

松田「WRX S4の2.4Lターボなんか、走らせるとそれなりにパワフルだし、トルクも出ているんだけど、水平対向エンジンらしい個性は薄いんです」

鈴木「技術がある程度高まってくると、“いいエンジン”になるわけですよ。目指すべきは熱効率に優れ、燃費がよくドライバビリティのいいエンジン。そうなると、結局各メーカー、同じようなエンジンになる」

片岡「メーカーの開発者は、エンジンの存在をなるべく消そうと努力するんです」

鈴木「実用車ならそれが正解だけど、内燃機関の魅力を味わうとなると、“クセ強”が必要」

ベストカー「日産のV6、3Lツインターボはいかがでしょう?」

松田「いいエンジンです!」

鈴木「あれはいいよね!」

松田「レスポンスがよくて、トルクのピックアップがシャープ」

片岡「中速域のトルクのつながりがいい」

鈴木「スカイライン400Rは古いシャシーをよく改良して400psオーバーのハイパワーに対応させているけれど、やっぱり洗練度には欠けるよね」

片岡「Zのほうがまだシャシーの洗練度は高いですね」

ベストカー「トヨタのV6、3.5Lツインターボはどうですか?」

鈴木「日産とは対照的。官能エンジンではないなぁ」

松田「フラットトルクで滑らかで、いいけどね」

片岡「ランクル系はあのエンジンがとてもいい」

鈴木「4.5L、V8みたいな大排気量NAの置き換えエンジンだよね」

鈴木「ところでスープラはどう? さすがBMWのエンジンという官能性?」

片岡「直6の3Lはもちろんだけど、直4の2Lターボも4000回転あたりからのトルクの出し方が上手」

写真のトヨタ GRヤリスやGRカローラ搭載する直3、1.6Lターボは304ps、40.8kgmを発揮。モータースポーツ用エンジン並みの性能だ
写真のトヨタ GRヤリスやGRカローラ搭載する直3、1.6Lターボは304ps、40.8kgmを発揮。モータースポーツ用エンジン並みの性能だ

鈴木「ハイパワー系で言うと、GRヤリスやカローラの1.6Lターボ。あれは素晴らしいエンジン!」

片岡「あれは現代の官能エンジンです」

鈴木「正味平均有効圧力がレーシングエンジンレベル。1Lあたりの最大トルク値と言ってもいいんだけど従来のトヨタの耐久信頼性基準だったら作れなかった」

片岡「レーシングエンジンの考え方ですよね。消耗パーツは一定期間で交換していくので、それをベースに耐久性能を設定する」

鈴木「1.6Lターボで40.8kgmですからね。市販エンジンだと、NAならば1Lあたり11kgm、ターボで21~22kgmを超えるとかなりのハイチューンと言われるからかなりの驚き。G16E-GTSは25.21kgm/Lだから、2Lだったら50.4kgm相当」

松田「レクサス LBXのMORIZOにも積んでますが、乗って驚きました」

鈴木「これと比べるとシビックタイプRの2Lターボは想定の範囲内。もちろん、乗ると楽しいんだけどね」

新型ダイハツ ムーヴ。ダイハツの例の事件による発売延期で開発期間を長くとれたのか、各部の完成度が高いようだ
新型ダイハツ ムーヴ。ダイハツの例の事件による発売延期で開発期間を長くとれたのか、各部の完成度が高いようだ

ベストカー「まったく話は変わりますが、軽自動車のエンジンはいかがでしょう?」

松田「新型ムーヴのNAがいい印象だった。まぁ官能エンジンではないけれどいいエンジン」

鈴木「ダイハツはターボのトルク変動を以前よりもマイルドにした印象だね」

ベストカー「昔は5バルブDOHCがあったり、ターボもアルトワークスなど強烈なエンジンがありました。NAもビートなんか8000rpm回りましたし個性が炸裂してましたよね」

片岡「今はバリエーションが減り、性能的にもマイルドで安定しています」

鈴木「軽は実用性が最重要だからね。各メーカーともNAがもの凄く進化して、一般道だったらターボの必要性を感じないほど。軽だとクセのあるエンジンはなかなか出てこないよ」

片岡「乗せているクルマとのマッチング次第で官能的に感じるものもあります」

*   *   *

 まだまだ話は尽きないが、今回の座談会から見えてきたことは、現代の官能エンジン車は「必ずしもハイパワーではなくとも軽快に吹け上がるエンジン」、「中回転域からしっかりとトルクが立ち上がり、アクセルレスポンスに優れたエンジン」ということになる。

 さらに言えば、他車では味わえない、そのクルマならではの個性が感じられるエンジンを搭載したクルマだということ。楽しいクルマは、まだまだたくさんあるってことだ!!

次ページは : 今回試乗した「現代の官能エンジン車」評価

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