軽自動車のなかでも特に人気があるのは、全高1700mm以上のスーパーハイトワゴン。しかし、新型ダイハツ ムーヴは1700mmに満たないハイトワゴンだがよく売れている。軽自動車の人気は本当に「天井の高さ」で左右されているのか?
※本稿は2026年1月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:奥隅圭之、ダイハツ、ホンダ、スズキ
初出:『ベストカー』2026年2月10日号
ハイトワゴンとスーパーハイトワゴンを実際に乗って比較
2025年の国内新車販売台数では、軽自動車が全体の36%を占めた。軽乗用車のうち50%以上が、全高を1700mm以上に設定して、スライドドアも備えたスーパーハイトワゴンになる。
2025年に登場した現行ムーヴはムーヴキャンバスと同様、全高1700mm以下のハイトワゴンながらスライドドアを装着した。開発者は「スライドドアは欲しいが、天井の高さはハイトワゴンで充分と考えるお客様も多い」と言う。
案外ハイトワゴンでも居住性は悪くない
居住性にはあまり差が付かない。ムーヴに身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の頭上には握りコブシ1つ半の余裕がある。N-BOXの2つ分に比べて少ないが、実用的には充分だ。
足元空間も同様で、後席のスライド位置を後端に寄せるとムーヴの膝先空間は握りコブシ3つ分、N-BOXは4つ分だ。N-BOXは広々としているが、実用的にはムーヴでも支障はない。開発者が述べたとおりハイトワゴンで充分だ。
スライドドアのニーズもさまざまだ。子どもと荷物を抱えて乗り降りしたり、高齢者がいる世帯ではスライドドアが便利だが、これらのニーズがない場合は横開き式ドアで充分だ。
ワゴンRは後席の開口部も広く乗り降りしやすい。スズキの販売店は「スライドドアが不要だから、ワゴンRやハスラーを選ぶお客様も多い」と言う。
その一方で、後席を格納して自転車などを積む時はスーパーハイトワゴンが有利だ。タント以外の車種には、後席の背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がる機能が備わり、簡単に大容量の荷室に変更できる。
荷室の床から天井までの高さも実測値で1100mmを上まわり、タントの荷室高はムーヴに比べて200mmも余裕がある。
【画像ギャラリー】使い心地と乗り心地で比較!! 全高1700mmを境に分かれる軽スーパーハイトワゴン&軽ハイトワゴン(16枚)画像ギャラリー重心の低いハイトワゴンのメリットは!?
運転感覚はハイトワゴンが有利だ。スーパーハイトワゴンに比べて全高が100mm以上低く、車両重量も同一メーカーの車種同士で比べて50kg以上軽い。重心も下がる。
ムーヴとN-BOXを乗り比べると、乗り心地は両車とも硬めであまり差が生じない。しかしカーブを曲がる時のボディの傾き方はムーヴが小さく、車線変更を終えた時の左右方向の揺り返しも抑えた。小さな交差点を左折する時も、ハイトワゴンのムーヴは、N-BOXよりもスイスイと曲がる印象がある。
新型ムーヴはスーパーハイト軍団に食い込むことはできるのか?
ハイトワゴンの代表であるムーヴと、スーパーハイトワゴンのN-BOXを比べると、居住性や積載性はN-BOXが勝るが、実用的にはムーヴで充分だ。
動力性能、ステアリングの操舵感、走行安定性、燃費は、低重心でボディの軽いムーヴが有利。価格もオプション装着を含めて装備を同等にして比べるとムーヴが約15万円安い。
この結論はハイトワゴンとスーパーハイトワゴンの一般的な比較に置き換えられる。したがって軽自動車を買う時は、まずハイトワゴンを検討して、室内高や自転車の積載に不満を感じたらスーパーハイトワゴンに移る。
現実的にはスーパーハイトワゴンの人気は絶大で、ムーヴが食い込むことは困難だが、選ぶ価値は充分に高い。
【画像ギャラリー】使い心地と乗り心地で比較!! 全高1700mmを境に分かれる軽スーパーハイトワゴン&軽ハイトワゴン(16枚)画像ギャラリー



















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