広島と山口で磨かれた底力!! マツダの歴史と防府工場で見た「ものづくり」の凄み

マツダに2大拠点あり! まるで毛利両川じゃないか!!

防府工場の正面。ここでマツダのクルマがつくられている
防府工場の正面。ここでマツダのクルマがつくられている

 1981年より稼働する山口防府工場は、広島本社工場とともにマツダの国内二大拠点のひとつ。1970年代末から80年代初頭にかけて、年間生産台数は100万台を突破したマツダは1982年に山口県防府市へ新工場を建設し、「国内二大生産拠点体制」を築くことなった。

 そして今では、「グローバル生産拠点のマザープラント」と位置づけられているうえに、多車種を効率よく作り分けるマツダの生産革新の中核へと進化している。現に、 この防府工場ではH1工場でMAZDA2、MAZDA3、CX-30が、そしてH2工場ではCX-60、CX-70、CX-80、CX-90が生産されている。

 なかでも特筆すべきは、「ものづくり革新2.0」だ。ものすごく簡単にいえば、車種ごとに専用設備を増やしていくのではなく、いまある工場や設備をうまく使いながら、ガソリン車もEVも同じ工場で作れるようにしていく考え方。

 いやいや、ガソリン車とEVってそんなに簡単に一緒に作れるのか……と思う人も多いはず。たしかに両者は構造も部品も違う。普通に考えれば、工場やラインは分けたほうがわかりやすい。

 そこで効いてくるのが「混流生産」だ。同じラインで複数の車種や異なる仕様のクルマを流しながら作る方式で、マツダはこのやり方をさらに磨き込んでいる。

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イマのマツダを支える驚くべき技術

工場内の様子、天井付近のレールを使用し各部署へ部品が回っていく
工場内の様子、天井付近のレールを使用し各部署へ部品が回っていく

 防府第2工場の組立工程は、完成車へ仕上げていくメインラインと、エンジンやサスペンション、インパネなどを先に組んでおくサブラインで成り立っている。言ってみれば、本線と支線の組み合わせだ。

 しかも現場では、車体を天井側のハンガーで吊って運ぶ工程もあり、クルマが宙を流れていくようにも見える。その一方で床では、AGVと呼ばれる無人搬送車が走り回り、必要な部品やユニットを運んでいる。

 このAGVの導入が、防府工場の柔軟性を大きく押し上げた。従来のコンベア中心の搬送では、作業者の動線が限られ、前後からの作業がしにくい場面もあった。だがAGVを活用することで、人の動きに合わせやすくなり、作業の自由度も高まった。さらに重要なのは、車種ごとに搭載する部品の位置や形が違っても、AGV側の動きや制御で吸収しやすくなったことだ。

 つまり防府工場で起きているのは、単なる自動化ではない。専用設備を車種ごとに増やして対応するのではなく、ラインや搬送の仕組みそのものを柔軟にし、多車種を同じ工場で効率よく作れるようにすること。それこそが、「ものづくり革新2.0」の核心といえる。

 実際に内部を見学させてもらったが、素人が見ても分かるくらいに効率化がなされていると感じられた。複雑な動きよりもなるべく単純な動き、見ただけで身体が動くように直観的に理解できる構造。そういった要素はすべて効率化に寄与する。

 素人が見ても理解できる度合いが高いということは、その分効率化もうまくいっているとも言えるのだ。

ヒトもモノもスペシャリスト

防府工場の工場長や部署の責任者が直接こちらの質問にも答えてくれたぞ!
防府工場の工場長や部署の責任者が直接こちらの質問にも答えてくれたぞ!

 もちろん、ここには数々の複雑な研鑽が積み重なっているし、一人ひとりの作業はかなり高度な技術だ。むしろ工場内に入って真っ先に驚かされたのは、従業員たちがかなりのスピードかつ精確にクルマをくみ上げていく熟練度だった。

 聞くところでは、1.56分/台(38.5JPH)、おおむね「約94秒ごとに1台ぶんラインが進む」とイメージしてほしい。約1分半のなかに、精密に人の手でパーツが取り付けられていくのだ。おそるべきスピードである。

 もちろん、生産効率だけを追っているわけではない。マツダは「走る歓び」につながる車体づくりにも手を抜いていない。代表例が減衰ボンドの活用だ。

 車体のつなぎ目に使うこの接着剤は、接合強度を高めるだけでなく、振動を吸収して走行中の細かなノイズやざわつきを抑える役目も担う。その塗布量を増やす工程も自動化されており、3眼カメラを用いた検査システムによって、塗布方向に左右されずリアルタイムで状態を確認できる。

 さらに見た目という面では、ドアの隙間へのこだわりも興味深い。マツダは、外板どうしのパーティングラインの「隙」を「均一な隙・段差」に強くこだわっているそうだ。1台1台計測し、位置決めロボットによる組付まで実現。これは非常に高いレベルで「匠の技」を再現できてしまうことを意味している。

 実はこの体験会の場で筆者は「なぜ、そのようなことができたのか」を問うてみた。すると、それだけのデータとケースを蓄積してきたからだといったようなあっさりとした答えが返ってきた。これは単純に見えて恐ろしいことだ。

 法則を発見できるほど有用なデータとするには、気が遠くなるほどの数を集めなければならないからだ。

 防府工場は、作業員から機械、そしてシステムの至る所まで「職人」なのだ。さて、ではここまでこだわり抜いたマツダのクルマは実際乗るとどうなのか? 次回ではそこをお伝えしよう。

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