2026年6月2日、GAZOO Racingは「GRMNカローラ」を世界初公開しました。スーパー耐久シリーズやニュルブルクリンクで得た知見をもとに、ボディ、足まわり、空力、冷却性能にまで手を入れた、GRカローラの頂点ともいえるモデルです。
なぜトヨタは、ここまで攻めた仕様をつくり上げたのでしょうか。その中身を追っていくと、GRMNカローラに込められた開発陣のこだわりが見えてきます。
文:吉川賢一/写真:トヨタ
【画像ギャラリー】ここまでやるか!! ニュル仕込みの究極仕様 トヨタ「GRMNカローラ」(17枚)画像ギャラリーGRカローラを別次元へ引き上げた究極仕様「GRMNカローラ」
GRMNカローラは、ベースとなるGRカローラにスーパー耐久シリーズをはじめとするモータースポーツの実戦で得た知見を惜しみなく投入し、さらにドイツ・ニュルブルクリンクでの過酷な走り込みによって、シャシー、空力性能、ボディ剛性を徹底的に磨き上げたモデルです。
軽量化を追求するためにリヤシートを潔く撤去し、2シーター化を敢行。フードダクトやフェンダーダクト、フロントサイドスポイラー、リヤウイングといった空力デバイスは、スーパー耐久に参戦する「水素エンジン搭載GRカローラ」の現場で磨かれてきたものです。さらに、専用のモノチューブダンパーやリバウンドスプリング、可変迎角リヤウイングなども奢られ、ベース車とは別次元の走りを実現しています。
高負荷走行に耐えうる強靭なボディ骨格を実現するため、構造用接着剤の塗布を13.9m延長し、総延長32.7mへと大幅に延長。加えて、連続する高負荷走行時の吸気温度上昇を抑えるクールエアダクトを採用するなど、見えない部分にも手が入っています。
こうした改良の背景には、トヨタが長年続けてきた「モータースポーツ起点のクルマづくり」があります。豊田章男会長(当時社長)が繰り返し語ってきた「道がクルマを鍛える」という考え方のもと、トヨタはスーパー耐久シリーズやニュルブルクリンクといった過酷な環境で実際にクルマを走らせながら開発を進めてきました。
ニュルブルクリンクは、超高速コーナーから低速コーナーまでが連続し、大きなアップダウンや荒れた路面も存在する全長20kmを超える世界屈指の過酷なサーキットです。サスペンションは限界領域でも底付きを起こさないか、ブレーキやデフは熱に耐えられるか、タイヤは目標とした周回数まで性能を維持できるかなどシミュレーションだけでは見つからない課題を洗い出し、市販車へ反映する。このGRMNカローラは、その開発思想が色濃く表れたモデルのひとつなのです。
速く走るだけじゃない!! 「走り続ける」ための工夫
技術的なハイライトとしてまず挙げたいのが、「足まわり」のつくり込みです。減衰力の立ち上がりを緻密に制御できる専用モノチューブダンパーの採用や、旋回時に内輪の接地性を高めてコーナリング限界を引き上げるリバウンドスプリングの追加、さらにはバウンドストッパー(バンプストッパー)のクリアランスをミリ単位で最適化するなど、シャシー全体に高精度な専用設計が施されています。
左右方向だけでなく上下方向にも激しく揺さぶられるニュルブルクリンクでは、タイヤをいかに路面へ押し付け続けられるかが重要です。サスペンションには、しなやかにストロークして接地性を確保しながらも、ロールやピッチを抑えて車体姿勢を安定させるという難しい役割が求められますが、GRMNカローラは、専用ダンパーやリバウンドスプリングなどによって、そうした難しい要求に応えています。
空力面では、可変迎角の大型リヤウイングや、25年後期型のGRカローラから投入された「クールエアダクト」などの専用装備が目を引きますが、GRMNカローラの空力性能は、単にダウンフォースを高めることだけを狙ったものではありません。
ニュルブルクリンクのような高速サーキットでは、エンジンやブレーキ、トランスミッション、デフなどが長時間にわたって高い負荷にさらされるため、速く走ること以上に、その性能を維持し続けることが重要になります。今回のGRMNカローラはエンジンの最大トルクをベース車比で15Nm高めた415Nmへ向上させ、それに伴って増える熱負荷対策として、連続する全開走行時でも安定した出力を維持できるよう、インタークーラースプレーも標準装備しています。
派手なエアロパーツや足まわりの変更に注目が集まりがちですが、こうした冷却性能への配慮もGRMNカローラの重要な特徴です。限界領域で速く走るだけでなく、その状態を維持するための対策まで盛り込まれており、スペックシートや写真だけでは伝わりにくいこうした地道な作り込みこそが、GRMNの名を冠する理由なのでしょう。























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