当サイトに限らず、プリウスの批判記事や販売減の報道はアクセスが増える傾向にある。コメント欄やお便りに「カッコ悪いから」「どうして売れてるのかと思っていた」「ほかによっぽどいい車があるのに」という反応が届きます。
世界最先端技術を集めて作られ、性能もトップクラス。販売台数も国内市場を牽引する実力がある……のになぜか、車好きには人気がない。なぜか。
その理由を、ニッコリ笑ってバッサリ斬ることで定評がある自動車評論家の片岡英明氏に伺った。
文:片岡英明
■プリウスのいいところとよくないところ
5月に続き、6月もプリウスとプリウスPHVが販売台数トップの座を死守した。が、2017年上半期の販売となると、ヴォクシー/ノア/エスクァイア3兄弟にトップの座を奪われ、2番手もルーミー/タンク4兄弟に奪われている。
(編集部註/ここには本来「単一車種に絞ってもトップではない。ノートの後塵を拝しているのだ。」という文章がありましたが、読者の方からご指摘をいただき、事実誤認を確認いたしました。当該文を訂正・削除し、謝罪いたします。申し訳ありませんでした)
現行の4代目プリウスはTHSの集大成モデルで、トヨタの技術の粋を集めて送り出された。先代ほどの勢いはないが、今でも月に平均1万3000台を販売している売れっ子である。だが、クルマ好きと呼ばれる人たちからの評判はあまりよくない。
酷評する人の意見で多いのは、ハイブリッド車のラバーバンドフィールだ。モーターは一気にパワーとトルクが立ち上がり、気持ちいい加速を見せるのが特徴だが、プリウスはそうじゃない。
ゴムを介したようなモッサリとした加速感覚で、モーター特有の鋭いレスポンスとキレのいい加速を感じにくいのである。
また、重いバッテリーを積んでいることもあり、動力性能に物足りなさを感じることも多い。リニア感のない、コントロールしづらいブレーキの制動フィールも不満のひとつだ。
個性の強いスタイリングも賛否両論ある。フロントマスクはキープコンセプトだが、リアビューは大きく変わった。年配の人は、テールフィンの時代のアメ車を思わせる大胆なリアビューに腰がひけてしまう人が多いようだ。
PHVは違うリアデザインとしたが、最初にプリウスを買ったユーザーは後出しの手法にいい感情を持っていない。安っぽいインテリアの質感に物足りなさを感じる人も増えてきた。
売れっ子ゆえにアンチプリウス派も少なくないのだろう。が、最新のプリウスは、3代目より大幅に商品性を高めている。TNGAプラットフォームの採用によって走りの実力は大幅にレベルアップした。
先代より軽快なハンドリングを手に入れ、高速走行でも安心感が増している。乗り心地もよくなった。
そして最大の武器が、ヨーロッパ勢を足元にも寄せ付けない優れた実用燃費だ。ゴーストップの多い街中の走りでも高速道路でも20km/Lを下回る燃費になることはほとんどない。草食系のエコカーとしては満足度の高いクルマと言えるだろう。
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