日産ディーラーは売るクルマがない!? モデルチェンジをしない現場の悲鳴

■徹底した秘密主義が客との信頼関係を崩している

 情報の遅さ、固い秘密主義については新型車の事前説明に関する対応である。トヨタやホンダだと毎年の年末や年明けに販売店に1年間の商品投入計画のあらましを説明する。

 そして個々のニューモデルについては3〜4カ月前に発売月日や商品概要、戦略を説明し、販売マニュアルをネットで配信。1カ月前には車両&オプション価格を提示し、予約販売をスタートする。

 日産も同じような態勢を組んでいたが、2〜3年前から変わってしまった。「毎年年度初めに半期ぶんの商品計画を通達するのをやめてしまった。情報が漏れているのを営業トップが問題視したらしい」(首都圏日産店店長)と指摘する。

 「2月28日に発表、3月1日に発売したセレナe-POWERは1カ月前に発表、発売日が提示され、2月16日から価格が決まり、事前の注文が取れるようになった。これまでとは異例の短さであり、それまではいっさい情報が流れてこなかった」(同)と不満顔を見せる。

セレナe-POWERhaディーラーにメーカーから価格などの情報が下りてくるのはほんの2週間前だった。
セレナe-POWERはメーカーからディーラーに情報が伝わったのは発表のほんの2週間前だった。こんな状態では賢い消費者をつなぎ留めておくのは難しい

 情報が遅く、秘密主義が強調されるとユーザーからの問い合わせに応えられず、ティザーキャンペーンが打てず、ライバル他社との競争が削がれる一因にもなる、といったデメリットが生じる。

◎証言1=首都圏日産プリンス店店長

 「日産の商品政策には大いに不満がある。ジューク、エルグランド、キューブ、マーチなどFMCすれば必ず売れるのに7年以上もほったらかしにされている。

 ジュークなどはクーペ感覚のSUVのパイオニアで当時はヒットモデルとして注目された。その後他社が同様のコンセプトを持った新型モデルを相次いで発売したことで、相対的に古くなり売れなくなってしまった。FMCしてe-POWERを搭載すれば復活し、必ず売れるようになるはず。

 エルグランドは大幅MCでフロントマスクを変えただけで売れるようになった。フルモデルチェンジすればトヨタのライバル車に負けないくらい復活すると強調したい」

◎証言2=首都圏日産店店長

「他社に比べると商品情報が遅く事前の売り込みがしにくい。配車も遅いので納期が遅れてお客さんからの苦情も多い。モデルが古くなると競合した時、大幅値引きで対抗しなければならない。そうなると販売店の収益は間違いなく悪化するのが現状だ」


 今後日産のディーラーマンたちが売りやすくなるクルマは登場するだろうか? 日産の販売店舗数はトヨタについで2位ながら、販売台数は5位にまで沈み込んでいる。販売現場を軽視しているともとられかねない現状はいつか打破されるのだろうか。

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