実はe-POWER方式が最適!? 軽自動車でハイブリッドは成立するのか ホンダは発売を明言!!


 ホンダ新社長が投入を明言! 軽のハイブリッド、実現の課題は?

 2021年4月23日、ホンダの三部敏宏新社長は就任会見で「2024年に軽自動車のEVを投入するなど、ハイブリッド・EVによる軽自動車の電動化も進めていきます」とコメント。これまで軽自動車には本格的なハイブリッドがないなかで、その投入を明言したのだ。

 では、実際に軽のハイブリッドは成立するのか? 課題と合わせてその可能性を解説。

文/高根英幸 写真/編集部、HONDA、NISSAN

【画像ギャラリー】2020年度軽自販売首位N-BOX&4月22日に発売された新型ヴェゼルをみる


ホンダが発売明言も軽HVは簡易版しか存在せず

2020年軽自動車新車販売台数首位を獲得したホンダN-BOXは、ガソリン仕様のみ。ハイブリッドシステムはまだ搭載されていない

 ホンダの社長交代は時代の流れとして当然のことではあるが、2040年に完全電動化の方針を発表したことに、自動車業界は相当な驚きをもった。

 もちろん三部新社長は2040年には経営には関わっていないだろうが、あのホンダがエンジンを完全に捨て去ると明言したことに、ホンダの覚悟と目指す方向性が感じ取れる。

 「タイプR」を筆頭とする高性能エンジンは、ホンダだけがもつ魅力的な武器であり、昨今のシビックタイプRの人気ぶりを見てもエンジンを捨てるのは、クルマ好きから見ればちょっともったいないという気もする。

 だが、これから先エンジンは急速に需要を失っていく気配であるから(筆者はまた見直される、とも思っているのだが)、企業が生き残っていくための手段としては仕方ない。

 ところでEVとFCVだけに絞り込む、となれば、軽自動車はどうするのかと思うユーザーも多いだろう。何しろ現在のホンダの四輪車販売は大半が軽自動車。それだけ優れた軽自動車を作っているのだが、軽自動車をEVやFCVにしても売れて、利益が出る構造にしなければ、企業として存続できない。

 これについても三部新社長は「2024年に軽自動車のEVを投入するなど、ハイブリッド・EVによる軽自動車の電動化も進めていきます」と語っている。つまり、現在の計画として2024年までに軽自動車のラインナップにEVを追加し、その後でハイブリッドも投入するというのである。

 ハイブリッドの軽自動車を開発することは、技術的にはもちろん可能だ。

 トヨタ、ホンダのストロングハイブリッド(パラレルハイブリッドとシリーズハイブリッドの両方の機能を併せ持つ)技術は世界一であり、スズキやダイハツもトヨタグループであるからハイブリッドの技術供与(公開された特許部分だけではないハズ)や、部品の共通化による開発の効率化や部品の調達コスト軽減も期待できる。

 だが、それでも今まで軽自動車にフルハイブリッドが存在しなかったことを考えれば、それがすぐに実現できるものではないことが理解できるのではないだろうか。

HVはEVより複雑で部品コストが嵩むのが課題

 よく言われることだが、EVはエンジン車に比べ構造が大幅にシンプルなクルマだ。

 EVならば走行用モーターとバッテリー、PCUだけで済むものが、ハイブリッドになるとエンジンと変速機、モーターとバッテリー、PCUが必要になる。バッテリーの搭載量は減らせるが、エンジンと変速機を搭載するコストと重量を考えると、安く軽く作ることは難しいのだ。

 そう考えると軽自動車が全車EVとなるのもバッテリーの性能が上がって、なおかつコストも安くなるまで待たなければならないだろう。それまでのつなぎとしてもハイブリッドは必要なのだ。

 またプラグインハイブリッド(PHEV)にするには、ある程度バッテリーを積む必要があるから、EVと比べてコスト面で有利にはならない。当分はEVとハイブリッド車の両立で、軽自動車市場(それが存続されるとすれば、だが)は構築されていくことになると思われる。

スズキの「Sエネチャージ」は、加速時にモーターをアシストするマイルドハイブリッド。同社以外の軽は現状、ガソリンエンジン車のみだ

 しかし、軽自動車でフルハイブリッドを実現しようとすると、技術面以外の問題がハードルとなってくるのだ。軽量な軽自動車にはマイルドハイブリッドの相性が良いことは、スズキのSエネチャージや日産/三菱の軽自動車に搭載されているハイブリッドを見ればわかるだろう。

 しかし、今よりも大幅に環境性能を高めるならば、モーターで走る領域を拡大しなければ不可能だ。それにはフルハイブリッドが必要になる。

次ページは : 軽にはストロングHVではなくe-POWER方式が最適