手頃な価格でも楽しめる! 国産NAエンジン車
86とロードスターもNAエンジン搭載のスポーツカーだが、この2車は「手の届くスポーツカー」としてコストコントロールされている。エンジンはともに量産型エンジンに手を加えたものだから、ベースエンジンが電動化されようが派生モデルとしての存続は可能。そういう意味では生き残りに不安はない。
ただ、ベースエンジンが量産ファミリーカー向けだから、スポーツカー用のエンジンとしてはちょっとパンチ不足。今以上のパフォーマンスを目指すには、NAのままでは限界がある。
例えば、ロードスターの姉妹車アバルト 124スパイダーは、同じ量産エンジン流用でもダウンサイズターボだから、ちょっと癖のあるドライバビリティが面白い。今以上のホットバージョンを作ろうとした場合、NAエンジンの限界に突き当たるかもしれない。
逆に、当分絶滅の恐れがないNAエンジンとしては、低価格志向の量産ファミリーカー用が一番安泰だ。
欧米に比べると、日本は平均速度が低く移動距離が少なめ。こういう交通事情で使うには、ダウンサイズターボよりNAエンジンの方が燃費でもコスパでも優っている。
シンプルで低コストに作られた車でも、乗ってみると意外にファン・トゥ・ドライブだったというケースはままあって、最近ではスイフトの「1.2RS」が秀逸だ。
エンジンは何の変哲もない1.2L(91ps/12kgm)だが、4気筒ゆえのスムーズさで6000rpmまで綺麗に吹き上がり、ちゃんと5MTが用意されているから限られたパワーを思いのままに操る楽しみもある。
しかも、車両重量800kg台という軽量設計で、ハンドリングも軽快かつナチュラル。ワインディングを走らせたら、ロードスターに負けないくらい面白い。NAエンジンの楽しさを、いちばん経済的に味わえる車といえる。
これぞ唯一無二! 替えが利かないNAエンジンは?
先に、大排気量NAエンジンの将来は暗いと述べたが、他に代替が利かないところには大排気量NAエンジンが使われるケースもある。
典型的なのはランドクルーザーで、絶対的な信頼性とタフな踏破性を追求した結果の4.7L・V8エンジンには、誰も文句のつけようがない。
これは、いくらディーゼルに逆風が吹いてもトラック用ディーゼルが無くならないのと同じ理屈。多少燃費効率を上げたところで、これまで培ってきた信頼性を犠牲にしては何の意味もない。ランクルの場合、普通の車とは技術の優先順位が異なるのだ。
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世界の潮流は電動化に向かっているとはいっても、電動化の通用しない分野はまだ数限りなくある。そんなところでは、今後も広く内燃機関が使われるだろうし、絶滅危惧種のNAエンジンだってしぶとく生き残ってゆくんじゃないでしょうかね。
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