最近の路線バスの運賃箱は、昔に比べれば超多機能。ICカードの処理は当たり前で、鉄道の自動改札を通過できる磁気カード乗車券まで発券できる機能を備える事業者も。
今回はバス運転士目線で、ちょっとだけ注意してほしいことや落とし穴をご紹介! 自然にやっていたあの行為が超危険かも……。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】【バス運転士目線シリーズ】当たり前になった運賃箱のIC カードリーダーには実はとんでもない落とし穴が!!(4枚)画像ギャラリー複数人分の清算は注意!! 指示に従ってタッチすべし
前払いでも後払いでも家族や子連れで乗車する際に多いのが複数人数分の運賃精算だ。ICカードの場合は運転士が申し出に従いチャージ額から差し引く設定をする。
しかしこの設定が終わる前に、乗客が先にタッチしてしまうと一人分の運賃が差し引かれて終わりになり、申し出の通りの精算ができなくなる。よってタッチする前に大人・子どもの人数などを運転士に知らせた後は、設定が終わるまでタッチはお待ちいただきたい。
バスの運賃箱でもたいていは千円単位でICカードにチャージはできるが、チャージと運賃支払いは別プロセスだ。運転士の操作でチャージが完了したら一度カードを外して再度運賃精算のためのタッチをしなければならない。二度手間だが、くれぐれも安心して乗車(または下車)しないように注意しよう。
後ろ乗りバスは注意!! 2回のタッチが必須
次に距離制の後払い方式を採用するバスでは、後ろ乗り・前降りが大半だ。現金の場合は整理券を取り、降車の際に運賃表に従い現金で支払えばよいのだが、ICカードの場合は整理券を取る必要がない代わりに、乗車時にカードリーダーにタッチしなければならない。
これによりICに乗車地が記録され、降車時に自動で運賃を計算してチャージ額から差し引く仕組みだ。
もしこれを怠ると、降車時には始発地からの運賃が差し引かれてしまう場合がある。チャージ額や引き去り額を残額不足エラーが出るほかに、その都度チェックする人は少ないことから、実際に多めの運賃を知らぬ間に支払っているケースは意外に多いとのこと。
もっとも乗車地の記録がないとエラーが出る事業者もあるので、必ずそうなるわけではないのだが、距離制運賃の場合は乗車時のタッチを忘れずに。
普段から後払いに慣れている地元の方には何でもない話だが、実は都市部の均一運賃の地域から来た人が未タッチに陥りやすいという。前乗り均一運賃制の場合は最初に運賃箱にタッチして終わりなので、2回タッチする習慣がないからだ。
またトップドアの高速バスでICカードを利用する際にも乗車時タッチが必要な路線がある。これは高頻度で運転する予約不要の座席定員制高速バスで多く見ることができる。カードリーダーに整理券箱、運転士の横には運賃箱と一か所にゴチャゴチャしているので注意したい。
もし乗車時にタッチを忘れてしまったときには、降車時に乗車停留所を運転士に申し出れば正しい運賃で精算してくれるので、くれぐれも黙ってタッチしないように気を付けたい。