日本最北のバス事業者・酷寒の地で生活の足を守る[宗谷バス]の平成初期!!

日本最北のバス事業者・酷寒の地で生活の足を守る[宗谷バス]の平成初期!!

 宗谷バスは日本最北の事業者として稚内市周辺のほか、礼文島、利尻島にもバス事業を展開している。
 管内の鉄道路線は宗谷本線を除いて国鉄末期から廃線が相次ぎ、郊外線は廃止転換バスの運行が中心となっているのも特徴である。

 また、2009(平成21)年までは東急グループの一員で、高速・観光バスは東急グループの共通デザインを採用していた。車両も東急から譲受した車両が多く、関東から渡ってきた車両が酷寒の地の足を守っていた。
(記事の内容は、2022年11月現在のものです)
文・写真/石鎚 翼
※2022年11月発売《バスマガジンvol.116》『平成初期のバスを振り返る』より

■季節波動が非常に大きく沖縄県内のバス事業者との車両・乗務員派遣につながった

日野 RE100。元・東急バスの低床車で、帝国製車体を架装したバス窓車である。平成初期はこうしたモノコックの中古車が稚内市内路線の主力として活躍していた
日野 RE100。元・東急バスの低床車で、帝国製車体を架装したバス窓車である。平成初期はこうしたモノコックの中古車が稚内市内路線の主力として活躍していた

 宗谷バスは本社のある稚内のほか、枝幸、そして礼文島・利尻島に拠点を置く。2ドアの一般路線バス車両は稚内市内路線が中心で、ほとんどの車両が東急バスからの移籍車であった。ただし、塗装は宗谷バスオリジナルの白地に赤帯の塗装が施された。

 なお、元東急車の導入は、東急グループから外れた現在も継続されており、一部は東急時代の塗装のままで使用されたこともある。

 東急バスから移籍した一般路線車は一時期日野製一辺倒となるが、平成初期には一部三菱製も使用されていた。宗谷バスへ移籍するにあたっては、暖房強化やドアレールへのヒーター増設など、厳しい冬季に向けた改造が実施された。

 一方貸切バスは三菱製が主体で、東急のみならず多くの事業者からの中古車が使用された。宗谷バス管内は貸切需要の季節波動が非常に大きく、導入コスト削減に寄与していた。こうした事情はのちに沖縄県内のバス事業者との季節波動に応じた貸切バス・乗務員派遣にもつながってゆく。

 1989(平成元)年には南稚内・音威子府間を結んだJR北海道の天北線が廃止され、150kmに及ぶ長距離転換バスが宗谷バスによって運行されることとなった。

 転換に伴い、トップドアの新車が投入され、音威子府・稚内間を直通する快速バスも運行されたが、元々沿線人口の減少が激しい地域で、現在までに直通便が廃止されただけでなく、減便も続いている。

 高速バスは、昭和末期から稚内・札幌線の運行を開始しており、高速道路の延伸に伴い留萌~深川~札幌間で高速道路を使用する。道路事情からJR宗谷本線に沿った内陸ルートではなくオホーツク海沿岸を経由し、車窓の景観もよい。高速バスにも元・東急バスのトイレ付夜行バス用車両などが充当された。

 また、稚内、利尻島、礼文島では定期観光バスも運行するが、この地域の観光シーズンは概ね5月の連休から9月までに限られ、運行できる期間は1年の半分に満たない。

 車両はハイデッカーやセミデッカーの貸切車が充当されたが、のちに離島の定期観光には2階建てバスが導入され、話題にもなった。経営環境も厳しさを増しているが、昔と変わらず最北の生活を支えてほしい。

【画像ギャラリー】沖縄県内の事業者と車両・乗務員の貸借も!! 平成初期の宗谷バスで活躍した車両たち(10枚)画像ギャラリー

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