スズキのSUVといえばエスクードやジムニーが思い浮かぶが、超扱いやすいサイズのイグニスもラインアップ。デビュー以来大きな変更もないまま時間が経過しているが、サイズ感も仕上がりも申し分ない。では、なんでスズキはイグニスに注力しないのか!?
※本稿は2023年4月のものです
文/渡辺陽一郎、写真/SUZUKI、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年5月10日号
■認定熟成車/スズキ イグニス
・現行型登場:2016年1月21日
・熟成期間:7年3カ月
●完熟への足跡
・2016年1月21日 デビュー
・2016年10月17日 ナビ機能を拡張し、既納ユーザーにも対応
・2019年7月1日 安全装備の強化
・2020年2月4日 SUVテイストを強めたMFグレードを追加
・2021年9月7日 ハイブリッドMGを新設定。MFのバンパーを全車展開するなど、デザインが変更された
■全高が低くスポーティーなコンパクトSUV
イグニスは全長を3700mmに抑えながら、最低地上高は180mmだから、悪路も走りやすい。2016年末と2017年には特別仕様車を設定した。2019年にも特別仕様車のハイブリッドMGリミテッドを用意する。
安全/快適装備を充実させ、内装には専用の高輝度塗装を施した。全方位モニター用カメラパッケージなどもオプション設定している。外装色も充実させ、2トーンルーフも含めて合計15パターンを用意した。
2020年の改良では、フロントマスクを大幅に変えて、新規グレードのハイブリッドMFを加えた。専用の前後バンパー、ルーフレール、汚れを防ぐ荷室床面などにより、SUV感覚を強めた。
この時点の目標販売台数は、従来と同じく1カ月当たり1500台だったが、2020年の1カ月平均登録台数は約220台に留まる。目標値の15%で販売の低迷が目立っていた。
■現行型登場から7年……熟成というより放置か?
2021年にも内外装や装備を見直したが、小規模の変更に留まる。イグニスは発売以来、あまり改良を受けていない。
この背景には、イグニスを導入した理由が関係する。スズキは、ホンダや日産まで本格参入する軽自動車市場の将来に危機感を抱き、小型車部門の充実に乗り出した。そこで2016年度に、小型/普通車の登録台数を年間10万台に引き上げる目標を掲げた。
この達成も視野に入れて、イグニスやバレーノが2016年に発売されている。ところが国内で10万台を登録する目標は2016年の末には早々に達成された。そのためにイグニスの販売が低迷しても、熟成に力を入れなかったのだ。
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