立ち往生してしまった場合は慌てず非常ボタンを押す!
問題は走行不能になって立ち往生した場合である。バッテリー上がりや、突然のエンジントラブルなど、起こる可能性はゼロではない。
なんらかのきっかけ(カムアングルセンサーやクランク角センサーなどの経年劣化で信号が不安定になることで、エンストすることはよくある)でエンストした場合、Dレンジに入っているとセルモーターは回らないのに、慌ててキーだけ回して「エンジンが掛からないッ! 故障だ!」なんてことだって、大いに有り得る。
そうした場合は、まずは遮断機に備わっている非常ボタンを押すことだ。これをためらってはいけない。
自分や自分のクルマを助けるだけでなく、鉄道会社や乗客をダメージから救うことになる。いたずらで押すのでなければ、その後無事に脱出できれば罪に問われるようなことはない。
非常ボタンを押したら、その下にある連絡先にすぐに電話をかけること。つまり非常ボタンを押しにいく時には、携帯電話を持っていくことだ。
カンカンと鳴ってから列車が来るまでは最低25秒ある
ちなみに踏切の規則については鉄道営業法という法律がベースにあり、国土交通省の省令よって基準が定められている。
それによれば、警報が鳴り始めてから遮断機が下りるまでの時間には15秒という基準があり、10秒以上は確保しなければならない、とされている。
そして遮断機が下りきってから列車が通過するまでには20秒が基準で、15秒以上は確保しなければならない。つまり、警報が鳴り始めてから列車が来るまでには最低でも25秒はあるハズなのだ。
今回の踏切事故のように急行列車でなくとも、列車は緊急ブレーキをかけても停止するまでには相当な距離を要する。
だから、迷っているような猶予はない。5秒で判断して、携帯電話を持って遮断機へと走り、非常ボタンを押して電話をかけるしかない。クルマの移動は、その後で考えるべきなのだ。
1980年代は非常に多かった踏切りでの車両事故だが、年々減少し、現在は年間90件前後で推移している。しかし60歳以上のドライバーの比率が高くなっているという傾向もある(ドライバーの高齢化による自然増もある)。
高齢者ドライバーによる事故や線路内侵入といったトラブルは、今後も減らすことは難しい。踏切という地点では、これまでとは違った新たな危険性が潜む場所として認識しておく必要がありそうだ。
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