およそ20年前からゲームを通して認知されるようになった「脳トレ」。昔任天堂DSでやったことがある人も多いのではないだろうか? 今回はその中でも若年層からお年寄りまで幅広く出来る「運転に特化した脳トレ」を皆さんにご紹介しよう。
文:佐々木 亘/写真:AdobeStock(トップ画像=SKT Studio@AdobeStock)
■脳機能の低下で予測の力が落ちていく
クルマを運転している時、人間はいろいろな能力をフルに使っている。視覚・聴覚はもちろん、ペダルを踏む・ステアリングを回す際には運動神経、車庫入れなどでは空間認知能力などが主な能力であろう。
また、あまり意識はしないと思うが、判断力や予測の力も運転時には大切だ。判断の遅れや予測能力の低下は、事故と直結するといっても過言ではない。
危険なシチュエーションでの一瞬の判断や、「あのクルマのドアが開くかも」「そこから子供が飛び出してくるかも」という予測する力を磨くことは、高齢ドライバーだけに必要なことではない。
若葉マークの初心者から、運転歴20年くらいのベテランドライバー、もちろん高齢ドライバーまで、全てのドライバーが脳トレを行い、判断と予測の力を衰えさせないことが、交通事故減少につながっていくのである。
■運転に特化した脳トレがあるってマジ?
自動車運転に特化した脳トレがあれば良いのにと探していたら、ピッタリのものがあった。昨年のジャパンモビリティショーにも出展していた「BTOC(ビートック)」というシステムだ。BTOCはBrain Trainer On Cloudの略で、運転技能向上トレーニングAI版を含む脳のトレーニングサービスである。
システムの監修は東北大学加齢医学研究所 所長の川島隆太教授。ニンテンドーDSで大人気だった「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の監修者だ。
1プレイわずか1分で、危険を察知する能力、危険を避けようとする判断能力が向上し、事故率が下がるという。大体6週間続けると運転が上手になるというのは、科学的に証明済み。
主に法人向けサービスであるBTOCは現在、東京の大手タクシー会社3社、東北・北海道や北関東の運送会社、引っ越し会社などを中心に導入が進んでいる。
導入しているタクシー会社からは「事故が減った」と声が上がり、配送業者からは事故はもちろんだが「誤配が減った」という業務効率改善の声もあるという。
朝のアルコールチェックの隣にタブレット端末を置いて、出発前にBTOCを1分間やる。これだけで事故が減り業務効率が上がるというのだから、運転前の脳トレは大きな効果があるということだろう。
■若年層も脳活ドリルで事故を減らそう
会社全体で事故予防をするなら、前述のBTOCの利用をおススメしたい。では個人単位ではどうするのか。簡単な方法は、ニンテンドースイッチでもDSでもいいから、ゲーム感覚で出来る脳トレを生活の中に組み込むことだ。
ゲーム端末を用意するのが難しければ、書店で脳トレドリルを買ってもいいだろう。認知機能検査対策の書籍は多くあり、簡単に手に入る。2024年6月20日に発売されたばかりの、『運転免許認知機能検査 完全攻略本』をやるのもおすすめしたい。
まずは、1日1分でいいので脳を刺激することから始めよう。筆者がBTOCを行った後に感じたのは、頭の中がすっきりする感覚だ。クルマを運転する前はもちろん、大事なプレゼンやアポイントの前にも、脳の準備運動として脳トレは効果的なのである。
クルマの機能がいくら向上しても、ドライバーの能力が落ちてしまっては交通事故の減少は見込めない。運転力を向上させるための脳活は、老いも若きも関係なく、ハンドルを握る全ての人が行うべきトレーニングと心得ておこう。
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