2023年から本格的に日本の乗用車マーケットに参入してきた中国メーカーBYD。既に日本市場では3つの乗用車モデルを展開しているが、それらは全てBEVのパワーユニットだ。そんな背景からBYDはBEV専門と思っているかもしれないが、実はそうではない。今回はBEV以外のBYDについて紹介していこう。
文:西川 昇吾/写真:ベストカーWeb編集部
■元々はバッテリーメーカー!? 1995年からスタート!!
まず簡単にBYDの生い立ちから見てみよう。BYDは1995年にバッテリーメーカーとして創業した。
2005年には日本法人としてBYDジャパンが立ち上がり、主に携帯電話用のバッテリーを中心に、日本での初期の事業を拡大してきた。
そんなBYDが自動車メーカーとしてスタートを切ったのは2003年のことだ。中国国営の自動車メーカーを買収し、自動車事業を開始したのだ。
もちろん、このころはBEVを主体としたメーカーではなかった。エンジンで動くクルマを展開していた訳だが、搭載していたエンジンだって三菱などを始め、他国の自動車メーカーから購入してきて搭載していることもあった。
■世界初!? 量産プラグインハイブリッド発売!!
しかし、BYDが自動車メーカーとして一気に名を広げる最初の出来事が2008年に起こる。それは、世界で初めて量産型プラグインハイブリッド車を発売したことだ。
そのモデルの名はF3DM。このモデルが爆発的なヒットをすることは無かったが、2008年と言えば日本ではまだプリウスが2代目の時代で、プラグインハイブリッドの一般向けへの登場は2011年まで待たなくてはいけない。
日本よりも約3年も早くプラグインハイブリッドを市販化していたのだ。このF3DMは20kWのバッテリーを搭載し、バッテリーのみで60マイル(約96キロ)の航続距離を実現していた。
BEVはモーターだけなので、制御やシステム的なハードルが低いが、エンジンと組み合わせるハイブリッド(プラグインハイブリッド含む)となると一気に難しくなる。
それを2003年の自動車事業参入から、僅か5年あまりでプラグインハイブリッド量産化にまで持っていく技術力をBYDは持っているのだ。
■止まらない進化!! 様々な事業を展開
BYDは乗用車だけでなく、バスやフォークリフトなどの働くクルマも生産しているが、クルマとは違ったモビリティにも参入している。それがモノレールだ。
中国では10近くの路線を運航し、ブラジルでも導入計画が動きだしているほどだ。また、ITエレクトロニクスや、新エネルギーなどの事業も手掛けている。
プラグインハイブリッドに話を戻すと、既に第5世代となるシステムにまで進化している。
このシステムはエンジンの熱効率が46.06%とされていて、100キロを僅か2.9Lのガソリンで走るという。そして航続距離はなんと2100キロとアナウンスされている。
先日のSEALの日本発表会では、プラグインハイブリッドモデルの日本導入も検討しているという旨が語られた。
日本と言う試乗ではまだBEVモデルへの抵抗感は強いが、プラグインハイブリッドならば受け入れやすいという雰囲気もあるのだろう。
もし、この高性能なプラグインハイブリッドが導入されたら、脅威的な存在となるかもしれない。
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