株価が好調な自動車メーカーといえば、BEVを積極的に開発するなど、脱炭素に取り組んでいるイメージがある。時価総額1位のテスラなどはその最たる例だ。しかし、BEVを持たないフェラーリもトップ5内にいる。フェラーリ好位置の謎に迫る。
※本稿は2024年7月のものです
文:角田伸幸/写真:フェラーリ ほか
初出:『ベストカー』2024年8月26日号
■フェラーリ株に投資する人は何を重視する?
株価が好調な自動車メーカーといえば、トヨタやテスラ、BYDといった名前が浮かぶ。イメージ的には脱炭素に真剣に取り組み、成果をしっかり生み出している会社という印象だ。
しかし株式の時価総額ランキングを見てみると、そんなイメージが当てはまらない企業もある。その筆頭が、4位のフェラーリだ。
もちろんフェラーリが脱温暖化に熱心ではないというつもりはない。近年はSF90や296など、ハイブリッドモデルも積極的に投入していることはご存知のことだと思う。
しかしフェラーリの株を買う投資家の多くは、そこだけを見ているわけではないだろう。この世界屈指の名門ブランドが、将来も安泰だと確信するから資金を投じているのだ。
それにしてもフェラーリの成長は凄い。同社がミラノ証券取引所に上場したのはたった8年前、2016年のことだが、そのわずかの期間に株価は10倍以上になった。
2023年の総生産台数はわずか1万3663台に過ぎないが(それでも上場した2016年の1.7倍!)、1台当たりの利益は1400万円にもなるとされ、量産メーカーとは比較にならない驚異的な利益率を誇っている。
フェラーリは今後、電動化を進めるいっぽうで、12気筒や8気筒といったV型エンジンの存続も視野に入れている。
そちらでは各国で開発が進むeフューエルを使用するのだろうが、この「エンジンを諦めない」姿勢こそが、フェラーリが価値を高めている理由だろう。偉大なスポーツカーのアイコンは、当分安泰といえそうだ。
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