乗り心地もなかなかいいじゃないの!!
快適性という点では電子制御可変ダンパーを採用し、パーソナライズを含む6つのドライブモードに応じた減衰特性を引き出すだけでなく、モーターのきめ細かな応答性を活かして停止寸前の前のめりを軽減するスムーズストップ機能も備えている。
発電専用そしてターボ付きとはいえ、果たして1.5Lのキャパシティで2tを超えるだろうエルグランド級の車格を満足に動かせるのだろうか……というのが自分も含めた多くの皆さんのまず思い浮かべる疑問だろう。が、いざ走らせてみるとこれがまったく問題ないことに驚かされた。
500Nm越えの触れ込みは大袈裟なものではなく、日常的な速度域では少ないアクセルの踏みこみでも間髪入れずぐいっと力強い推進力が得られる。100km/h越えの高速域に至れば空気抵抗が増すこともあってさすがに余裕綽々とはいかなくなるが、総じての動力性能はライバルと同等以上にあるといえるだろう。
それと併せて感心したのが静粛性の高さだ。モーターのみでの走りの際にも路面からのノイズは適切に封じられている。定常的な負荷であればエンジンの稼働も気にならないほど音振はこなれており、全開のような高負荷でもエンジンの音質に雑味は少なく、いかにも3気筒的なクセも気にならない。
総じて、パワートレーンの質感については第3世代e-POWERへの自信が十分に伝わってくる仕上がりだ。
これはアルヴェル天下も喰っちまうか!?
新型エルグランドは乗り心地やハンドリングについても、現時点で充分に合格点の水準に達している。ドライブモードに応じての駆動配分はスポーツモード時に積極的に後軸側のモーターのトルクを活用するように躾けられていて、コーナリングはアンダーを強く感じさせない、後ろ脚できちんと蹴っている実感のある回頭性をみせてくれた。
さすがにプラットフォームが更新されたこともあって、低負荷の日常的な速度域からバネ下の路面追従性は高い。横Gを巧く抜けるようにロールを抑えすぎることないよう定量的に程よく推移させている辺りも、剛と安心を両立させる日産らしい走りのキャラクターに繋がっている。
この原稿を書いている時点ではデザインや装備、それらを含めた静的質感などわからないことも多い。が、新型エルグランドについてひとつはっきりと言えるのは、動的質感においては待ち望んできたクルマ好きたちを失望させることはないということだ。発売が予定される2026年は年次的にアルヴェルのテコ入れも予想されるが、そこに一矢報いるポテンシャルを備えていることは間違いない。


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