「2024年問題」はトラックドライバーの賃金アップの追い風にならず!? 全ト協がまとめた賃金等の実態調査から

「2024年問題」はトラックドライバーの賃金アップの追い風にならず!? 全ト協がまとめた賃金等の実態調査から

 トラックドライバー不足の実態を世間に知らしめた「2024年問題」だが、人手不足が深刻なら賃金をアップして人員を確保するというのが世の習いというもの。

 では、トラックドライバーの賃金は上がっているかというと、これが未だ「追い風」とはなっていない印象なのだ。以下、このほど全ト協(公益社団法人全日本トラック協会)がまとめた賃金・労働時間等の実態調査の概要からご紹介しよう。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/写真AC(トビラ写真)・フルロード編集部

全ト協がまとめたドライバーの賃金等の実態調査

「2024年問題」はトラックドライバーの賃金アップの追い風にならず!? 全ト協がまとめた賃金等の実態調査から
人々の生活を支えるために街にはたくさんのトラックが走っているが……

 全日本トラック協会は8月10日、トラック運送事業に携わる従業員の賃金や労働時間等の実態について調査した結果を「2022年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」として取りまとめた。

 これは労働環境改善の基礎資料とするために、令和4年(2022年)の5、6、7月に支給された給与の1カ月平均額等について調査したものだ。

 有効回答数は特別積合せ貨物(特積=不特定多数の顧客の貨物を1台の車両に積み合わせて運ぶ運送形態のことで、いわゆる宅配便などがこれに当たる)が37社、一般貨物が754社。集計は、業種、性別、職種(けん引、大型、中型など)、従業員規模、年齢階級、地域別に分類した。

 全職種の平均賃金は、特積が32万2700円(前年比3.0%減)、一般が32万9300円(同2.0%増)となった。年間賞与の1カ月平均額を加えた月額は、特積が37万5700円(同4.0%減)、一般が37万0000円(同3.6%増)となっている。

 運転者から事務員、荷扱手、整備・技能員までのトラック運送事業全体では、全職種平均賃金が32万6900円(同0.1%減)、賞与込みで 37万2300円(同0.1%減)となった。

対前年比で「減」も多く、賃金アップは頭打ち

 女性運転者のサンプル数が少ないため、中核となる運転者のうち男性運転者の賃金をみると、特積の平均賃金は34万0400円(同3.5%減)、賞与込みで39万5300円(同3.9%減)。

 一般の平均賃金では34万3700円(同1.0%増)、賞与込みで37万4300円(同1.5%増)となった。特積と一般をあわせた男性運転者全体の平均賃金は34万2500円(同1.1%減)、賞与込みで38万2700円(同1.7%減)となっている。

 平均賃金が高い方からあげると、特積では、大型、けん引、準中型、普通、中型の順となっている。一般では、けん引、大型、準中型、中型、普通の順となっている。

 大型運転者と中型運転者の賃金の差額は、特積では平均賃金で7万0300円、賞与込みで7万0900円となり、一般では平均賃金が5万4700円、賞与込みで6万3400円となっている。

 男性運転者の賃金を業種別に比較すると、けん引、中型運転者の平均賃金は一般が特積を上回っているものの、それ以外は特積が一般を上回っている。

 大型運転者を例にとると、特積と一般の差額は平均賃金で1万1500円、賞与込みで2万7800円となり、それぞれ特積が一般を上回っている。

 なお、トラック運送事業従業員の平均年齢は、男性運転者が48.4歳(前年47.6歳)、そのうち特積が47.2歳(同46.0歳)、一般が49.2歳(同49.2歳)となっている。運転者から事務員、荷扱手、整備・技能員までの職種を含めた男女あわせた全職種の平均年齢は47.1歳(同46.5歳)となっている。

 また、職種別にみると、歩合給(運行手当等)や時間外手当(早出、残業、深夜、休日出勤手当等)などの変動給の占める比率は一般の運転者が比較的高い。男性運転者のなかで変動給の占める割合が特に高いのは一般の大型運転者で49.7%となっている。

 変動給の内訳をみると、男性運転者では特積で歩合給と時間外手当の割合がそれぞれ43.2%、53.6%となり、一般では歩合給の割合が46.4%、時間外手当の割合が44.4%となっている。歩合給の割合が最も高いのは特積の大型運転者と一般のけん引運転者で、それぞれ51.5%、49.1%と約半分を占めている。

 また、賃金(賞与を含む)を年齢階級別に指数でみると、20~29歳を100とした場合、男女総合の特積、一般をあわせた全職種平均で50~59歳が129.2で最大となり、次いで40~49歳の127.0 となっている。

全ト協「2022年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について

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