アジア大会でも大活躍! 中国・吉利汽車の「メタノールトラック」が急速に進化していた!?

大幅に進化した吉利の新エネルギー大型トラック

アジア大会でも大活躍! 中国・吉利汽車の「メタノールトラック」が急速に進化していた!?
吉利(遠程汽車)は「純電動」と「メタノール」の2つをコア戦略として技術開発を進めるようだ

 その吉利は2023年5月30日に新エネルギー大型トラックのアーキテクチャを刷新し、これに基づく新型車「遠程星瀚G」を発表し、9~10月に中国・杭州で開催される第19回アジア競技大会(アジア大会)の支援用車両として投入することを明らかにした。

 ディーゼルエンジンに代えてメタノールエンジンを搭載した初代・甲醇トラックからドライブトレーンは大幅に進化しており、「超級電動」は底部バッテリー交換式のBEV、「超醇電」マイルドハイブリッドはメタノールエンジン+電動モーターのハイブリッド方式、さらに「醇气電」ディープハイブリッド(「气」は正しくは水素を意味する漢字)はメタノール改質による水素燃料電池+電動モーター)という提案だ。

 BEVの超級電動は、500kmの航続距離を持ちながらバッテリー交換に対応する。中国は大型BEVのバッテリー交換方式に力を入れているが(中国では「換電式」と呼ぶ)、交換可能なバッテリーをキャブバックに搭載する方法と、シャシー下部に搭載する方法がある。

 キャブバックに搭載する場合、バッテリー交換用のインフラが単純化されるいっぽう積載量に影響が出る。また車両の底部に搭載する場合は交換に専用施設が必要になるなど一長一短がある。

 マイルドハイブリッドはメタノールエンジンで走行し、坂道などで走行負荷が高まった場合に電動モーターがトルクアシストを行なうというもの。ハイブリッド車の航続距離は1500kmを超えるとのことで、再生可能なM100燃料によりゼロエミッションの長距離輸送というニーズを満たす。

 さらに将来を見据えたというディープハイブリッドは、メタノール改質により水素を発生させ、水素燃料電池で発電、電気モーターで走行するというもので、メタノール+燃料電池をレンジエクステンダーとして用いている。技術デモを目的としており、市場投入される車両ではないようだ。

 燃料電池の動力となる水素は、気体の場合はエネルギー密度が低く高圧ボンベが必要となり、液体水素は極低温を維持する必要があるなど車両用の燃料としては扱いにくい。常温・常圧で液体のメタノールを水素源として搭載したほうが、直接水素を搭載するより優れているという考え方だ。

中国が推すメタノール技術

アジア大会でも大活躍! 中国・吉利汽車の「メタノールトラック」が急速に進化していた!?
第19回アジア大会(杭州)の聖火。史上初めてゼロカーボンの「グリーン・メタノール」が燃料となった

 再生可能エネルギー等でメタノールを製造すれば、メタノールによる脱炭素化が可能だ。

 実際に「アジア版オリンピック」とも言われる大規模スポーツイベント・アジア大会の第19回大会が中国・杭州で2023年9月23日に開幕したが、聖火の燃料に史上初めてゼロ・カーボンの「グリーン・メタノール」が使用された。

 このグリーン・メタノールは、工業排気から回収したCO2とコークス炉ガスから作られたという。燃料の輸送を支えたのも、同じくメタノールを燃料とする吉利のメタノールトラックで、アジア大会を通じて製造から運搬・消費までの「メタノールチェーン」をアピールする狙いがある。

 もし中国国内のトラックの半分がメタノールで動くようになれば、CO2の排出量は2億トン以上減るという調査もあり、輸入に頼っている石油への依存も減らせるため、エネルギー安全保障という側面からも中国はメタノール技術の研究を推進しているようだ。

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