オーソドックスなFCパワートレーン
FCパワートレーンの構成そのものは、オーソドックスなものである。燃料の水素ガスは重量換算で5kg、これを一世代前の標準充填圧である350気圧(35MPa)で、6つのタンクに収める。燃料電池(FC)は、カナダ・バラード社製で出力100kWを2基搭載する。
走行用モーターは、デンマークのダンフォス製永久磁石式交流モーターで、連続出力653PS/最高出力789PS、最大トルク2300Nm(235kgm)を発生し、タトラ製の電子制御5速トランスミッションを介して駆動する。ディーゼル車が搭載するタトラ製12.7リットル空冷V8エンジン(Euro-V規制モデル)の469PS・2100Nm(214kgm)よりもかなり強力である。
高電圧バッテリーは、チェコのEVC社が開発した容量171kWhの三元系正極材(NMC)リチウムイオン電池で、基本的にプラグイン充電した状態で使うが、FCからの補充電も可能である。FCパワートレーンの制御内容は不明であるものの、基本はやはりFCの電力で走行し、高負荷時の高出力発生時や、回生時の電力エネルギー蓄電で高電圧バッテリーを利用するものとみられる。
タトラでは、プロトタイプ車を厳しい環境下でテストする方針。なお、航続距離は400~500kmとしている。
タトラに出資する投資会社プロメットグループのラディム・マテラ氏は、「タトラはその歴史を通じて進歩と革新を担ってきました。それは今も変わりません。伝統的で実績のあるタトラ・シャシーに、水素推進システムを載せた新型フォース・プラットフォームの組み合わせは、幅揃い車型展開とアプリケーションとともにユニークな排気フリー・ソリューションを生み出します」とし、将来の商品化をうかがわせている。