『1日70件超の落下物捌く』 首都高 パトロール隊に潜入!! 【道路を支えるプロの仕事】


『車線を抑える』落下物回収法

 こうしてパトロール隊の2人に同行取材を続けていると無線が入る。

 「高速箱崎より高速212。……一件、落下物の回収お願いします」

 箱崎交通管制室からの無線だ。どうやら落下物は毛布だとのこと。現場へ急行だ。

 時刻は15時を過ぎた頃。冒頭で紹介したボタンを操作し、赤灯を点灯。サイレンを鳴らしながらの緊急走行で、外部のスピーカーを使い「落下物の回収をおこないます。

 少しの間、ご協力をお願いします」といったアナウンスをしながら、一般の通行車両に避けてもらいつつ、現場へ向かう。

 そして、現場付近へ到着。助手席の隊員は、このように誘導棒でお客様車両が落下物に接触しないよう『先頭固定』をおこないながら、到着したらセーフティコーンを立てるなどして現場で作業を行う。

写真左のように後続の一般車両を誘導。すると、右のように車線を抑えることができる。このようにして落下物回収の現場で作業をおこなうが、周囲の流れが速い時などは、車線を抑えるのも難しく、経験と技量が求められる  

 車線を封鎖することを『抑える』というのだが、何車線を抑えるのかは、その事象や場所によってまちまち。

 今回は、現場に到着すると落下物はなく“空振り”に終わってしまったが、こうした手順で安全を確保しながら迅速に落下物を回収するのが、パトロール隊の腕の見せどころだ。

こちらは定点監視中の様子。事故時や落下物発生時も、こうしたセーフティコーンなどを使い、現場を安全に規制する  

【一問一答】なぜランクル? 緊急時の最高速は? 首都パトの疑問

 最後に、首都高パトロール隊=通称“首都パト”にまつわる気になる疑問に、一問一答形式で回答!

Q1.パトロール車両はなぜランドクルーザーなのですか?

A1.車両総重量4t程度の車両を、道路の起伏に関わらず、余裕を持って牽引できるパワーを備え、長年の使用に耐えうるフレーム構造であることに加え、自転車程度の大きな落下物でも、荷室に積載可能なスペースを備えているため。

……回答にもあるとおり、ランドクルーザーは本当に壊れにくく、信頼性が高いというのが、1車種独占採用となっている理由といえそうだ。

Q2.パトロール車両は、緊急時に法定速度を超える速度で運転することもあるのですか?

A2.あります。ただし、その場合でも緊急車両の法定速度(80km/h)を超えて走行することはありません。

……例えば、60km/h制限の道路であれは、緊急時に80km/hまで速度を上げることが可能。80km/h制限の区間では、パトロール車両といえども、一般車両以上の速度は出せない。

Q3.夜勤のパトロールはどのようなスケジュールで勤務をおこなっていますか?

A3.日勤は午前・午後で2回の定期パトロールを行いますが、夜勤は3回おこないます。勤務時間は16:30から翌9:30まで。パトロールが終了すると、『有事待機』となり、その間に事故などの書類作成をおこないます。

Q4.首都高全体では、どのくらいのパトロール車両が走っているのですか?

A4.首都高は、東京西局、東京東局、神奈川管理局の3つの管轄エリアに分かれています。日勤時間帯では、首都高全体で33台、夜勤時には25台のパトロール車両が稼働し、24時間の総走行距離を合計すると、約1万1000km余りになります。今回取材を行った東京東局では、日勤時11台、夜勤時8台のパトロール車両が走行しています。

Q5.パトロール車両の通行料金は無料なのですか? また、どのように料金所を通過していますか?

A5.現在は業務用ETCカードで、通行しています。ETCがなかった頃は、業務用通行券などを使い、通行していました。


 普段、ドライブ中に見かける首都高パトロール隊は、影に日なたに、道路の安全を支えている“仕事人”たちなのだ。

 ……ちなみに、首都高パトロールでは交通業務員を募集中(2017年6月現在)。

 応募にあたっては、『高卒以上、32歳迄』、『応募時点で運転記録証明書における行政処分の前歴が0回かつ交通違反累積点数が2点以内の方』などの条件がある。

 パトロール隊になりたいと思った方は、ぜひ応募してみてはいかが?