『1日70件超の落下物捌く』 首都高 パトロール隊に潜入!! 【道路を支えるプロの仕事】


『大雪で12時間パトロール』安全を担う仕事の難しさ

 「一番大変だったのは、数年前に大雪が降った日でしたね。この時は事故や立ち往生車両が多発して、パトロールを終了できず、12時間のパトロールになってしまいました」

 副班長を務める堀さんは、最も大変だった勤務を振り返る。事故が発生すると、パトロールを終えて基地に戻った後も書類作成などに追われ、退社は22時を過ぎることもある。

 決まった時間になれば交代のパトロール隊員が待機している。それでも大規模な事故や交通障害があれば、「なかなか引き継げない状況の時もある」というのが、安全を担う仕事ゆえの難しさだ。

パトロール中の一コマ。助手席の隊員は、後方確認・合図などを担当するほか、PAなどでの停車時は、車を降りて誘導をおこなう  

 そんな堀さんはなぜ、首都高パトロール隊という仕事を選んだのだろうか?

 「入社してから20年経ちますが……何でしょうね。(助手席の小川さんのほうを見ながら)君、もっといい意見あるだろ!?」

 照れ隠しで後輩に話を向ける堀さんに、「僕ですか!?」と答える入社3年目の小川さん。そんなやりとりに、息のあったチームというか、いい意味での上下関係のような雰囲気を、そこはかとなく感じる。

 その後、入社理由を2人に聞いていくなかで共通していたのは、「事故や故障車などで困っている人の役に立ちたい」との思いだった。

事故より多い落下物。なかには特大案件も!?

 その事故や故障車はどれくらいの頻度で発生しているものなのか。首都高によれば、平成28年度の首都高全体のデータは次のとおり。

・事故/1万973件(1日平均/約30件)

・故障車/1万377件(1日平均/約28件)

・落下物/2万6519件(1日平均/約73件)

 じつは、事故・故障車以上に最も多いのが落下物=落とし物なのだ。

 落下物は、原則パトロール隊員などが拾って基地に持ち帰り、一定期間保管される。

こちらのバンパーと思しき物体も道の“落とし物”。落下物は可燃物、不燃物、事故時の回収物など分類されて保管される  

 写真のとおり“落とし物”は多種多様。毛布や何かの梱包材といったものもあれば、脚立や車のバンパー(事故時に回収したものも含まれる)など、それが道路上に落ちていると考えると、身の毛がよだつモノも多い。

 なかでも、堀さんがこれまでで最も驚いたのは、体操競技などで使う「エバーマット」だという。

 「大きな落下物があると聞いて。『1mくらいの物だろう』と考えていましたが、普通車よりも大きいであろう緑色の“物体”が、右車線を完全に塞いでいました」

 「よく見ると、走り高跳びなどで使う分厚いエバーマットでした。非常駐車帯まで運ぶのも大変でしたが、固定ロープが切れて、トラックの荷台から落ち、反対車線から中央分離帯を乗り越えて落下したと後で判明した時はさらに驚きましたね」

こんな巨大なマットが道路上に落ちていたら……。落下物回収はなかなかの大仕事だ。
写真/shutterstock.com  

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