欧州ディーゼル勢続々上陸 その実力やいかに!? 時代遅れなのか?それとも最先端か?

 欧州車といえば「クリーンディーゼル」の印象が強い。実際、ディーゼル車が少なく思える日本でも、実は今61車種もの欧州のディーゼル車がラインナップされている。

 さらに、ここにきて新しいディーゼル車が急増。排ガス不正問題の影響を受け、販売が落ち込み気味の欧州とは逆に、日本ではディーゼル車の種類がどんどん増え続けているのだ。

 なぜなのか? その理由を探るとともに、2018年以降に登場した欧州ディーゼル車のイッキ評価を展開。各車のオススメ指数も付けてお伝えする。最新欧州ディーゼルの気になるところをドカンとチェックしていこう!

※本稿は2019年3月のものです
文:桃田健史、/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年4月10日号


■欧州クリーンディーゼルが日本市場を目指す理由

(TEXT/桃田健史)

 ディーゼル車といえば、欧州。そんなイメージを持つ日本人は、今でも大勢いるだろう。

 欧州に暮らす人々は、EUが誕生して国境での検問が簡素化される前から、欧州各地で長距離ドライブすることが多かった。夏の長期バカンスに出かけるのは当然のこと、税率が安い隣の国に日用品を週末にまとめ買いする、といったことも古くから当たり前のことだった。

 そうなれば、ガソリン車より燃費がいいディーゼル車が好まれる。夜間の長距離移動では、走行ルート上にガソリンスタンドが営業していない場合もあり、満タンでの航続距離が長いディーゼル車が好まれるのだ。

 そんな欧州で2015年、衝撃が走った。フォルクスワーゲングループがディーゼルエンジンを制御するコンピュータプログラムを不正にセットアップし、CO2規制を違法にクリアしていることが明るみに出た。同様の事案が、ほかのドイツメーカーでも行われている疑いも浮上した。

●2018年以降登場の欧州クリーンディーゼル車その1/アウディQ5 40 TDIクワトロ…日本で売られるアウディとしては40年ぶりのディーゼルとなるQ5。直4、2Lターボ、190ps/40.8kgmで、価格は636万~657万円だ

 こうしたディーゼル車に対するネガティブな報道が世界中に広がり、火種であるフォルクスワーゲングループの企業としての信頼が一時的に大きく失われた。当然、ユーザーとしてもディーゼル車を敬遠する気持ちになる。

 だが、このことが、昨今の欧州でのディーゼル車販売量の減少、さらには日本への欧州クリーンディーゼル続々上陸の主たる原因ではない。

●欧州CO2規制が米トランプ政権の動きに影響

 欧州でディーゼル車の販売台数が低下しているのは、自動車メーカー自身が欧州でのディーゼル車の製造と販売を抑制しているからだ。

 その理由は、欧州での排ガス・燃費規制への対応だ。2021年から、CO2排出量で95g/kmとなり、今後も2025年や2030年といった節目の年を目標に規制の度合いはさらに高まることが確実視されている。そのため、欧州メーカーのみならず日系を含めた自動車メーカー各社は、2010年代初めから中盤にかけて、パワートレーンに関する将来戦略を大幅に見直した。

●2018年以降登場の欧州クリーンディーゼル車その2/アルファロメオ ステルヴィオ2.2ターボディーゼルQ4…直4、2.2Lターボ、210ps/48.0kgmの4WD。ステルヴィオのほかセダンのジュリアにも搭載される。価格は617万円。2019年4月登場

 具体的には、ガソリン車の小排気量化、48Vバッテリーを使ったアイドルストップと小型モーターによるエネルギー回生システムの導入、そして、EVやプラグインハイブリッド車の導入だ。

 一方、世界最大の自動車市場である中国で、2019年から始まった新エネルギー車(NEV)規制への対応としてEVやプラグインハイブリッド車の量産計画を加速させている。そのなかで、中国では乗用ディーゼル車はマイナーな存在だ。

 また、利益率が高い大型SUV人気が続くアメリカ市場では、トランプ政権の動きに目が離せない状況にある。カリフォルニア州のエネルギー車規制(ZEV法)と連邦環境局による燃費規制(CAFE)との融合に向けて、州政府と連邦政府の間で政治的な綱引きが続いているのだ。

 アメリカでは2000年代にフォルクスワーゲンがディーゼル普及戦略を企てたことがあるが失敗。アメリカでは今でも、ディーゼル燃料を販売していないガソリンスタンドが多く、乗用ディーゼル車は中国と同様にマイナーな存在にすぎない。

●ディーゼル車の付加価値を理解する日本人

 こうした、世界の主要市場での動きの反動が、日本市場に一気に押し寄せている。 

 近年の日本ディーゼル市場は、メルセデスEクラスなどが基盤を作りながら、2015年からのマツダ第五世代シリーズにおけるSKYACTIV-Dによって一気に拡大した。燃費のよさやディーゼル燃料の安さのみならず、低速回転域でのド太いトルクに魅了される日本人が多い。

●2018年以降登場の欧州クリーンディーゼル車その3/プジョー508GT BlueHDi…直4、2Lターボ、177pc/40.8kgmを搭載するラグジュアリーセダン。ガソリンターボは1.6Lだけにこの大トルクが魅力。価格は492万円

 ディーゼル車はガソリン車に比べて新車販売価格が高いが、日本人はディーゼル車に経済性だけではない付加価値を重視しているのだ。

 そうした市場性を考慮して、欧州メーカー各社は日本市場にディーゼルを積極的に導入し始めたといえる。つまり、日本は皆さんが想像する以上にディーゼルを好む国ということ。それが急増している最大の理由なのだ。

■新型欧州クリーンディーゼル12車をイッキ評価!!

 ここからは、2018年1月~2019年1月までにラインナップに新規追加、もしくはフルモデルチェンジされた欧州メーカーのクリーンディーゼル搭載モデルを、一気に紹介・評価していく。

 ベストカーでお馴染みの自動車評論家4名が、忖度なしで評価したオススメ指数付きなので、ディーゼルモデルの購入を検討している方は要チェックだ。

●ボルボ V90 D4

直4、2Lディーゼルターボ。ドイツ御三家とはひと味違ったディーゼルモデルだ。実際に乗ると
カタログ値をいい意味で裏切る走りで驚かせられる

(TEXT/国沢光宏)

 ボルボV90 D4は全長4935mm×全幅1880mmという大柄なボディを持つ。ベンツで言えばEクラスとSクラスの中間サイズですね。

 搭載されるのは190psの2Lディーゼル。ボディサイズとエンジンスペックを考えれば、必要最低限の走りでしょう、と思うに違いない。

 どっこい! Dレンジをセレクトしてアクセル踏むと予想以上のパワフルさに驚くことだろう。考えてみればトルクが40.8kgmもある! ガソリンエンジンなら、4L並みと言ってよい。

 トルクも低い回転域から出ており、アクセル踏むとグイグイ加速していく。高速走行だって得意。動力性能に関する不満はほとんどないと思う。

 唯一の「対応してほしい」のはアイドリングストップ。ボルボのディーゼル、始動性よいし、セルモーター回った時の音や振動レベルも少ない。

 けれど渋滞時など1~2秒の停止でもエンジン止まり、再始動するのは煩雑。というか、基本的に静かなクルマなので、むしろ気になってしまう。アイドリングストップを停止できるボタンがあれば100点です。

 また、ボルボの場合、ディーラーでポールスターのコンピュータチューンが可能で、10ps/4.1kgm向上する。常用回転域のトルクを太くしてくれるため、一段と元気よくなります。

 素晴らしいのは燃費。街中でも13~14km/L走るし、ロングドライブであれば余裕で18km/Lに届く。エンジン音や振動の低さもボルボの美点。アイドリングのみ“ディーゼルらしさ”を感じるものの、走り出してしまえば滑らかで気分いいです。

〈ボルボ V90 D4 諸元表〉
全長:4935mm
全幅:1880mm
全高:1475mm
最高出力/最大トルク:190ps/40.8kgm
J08モード燃費:16.2km/L
価格:709万円〜

オススメ指数:AA

●BMW X2 18d

直4、2Lディーゼルターボ。Mスポーツ専用パーツが施され、スポーティさを際立たせる。デチューンはされているが、エンジンは力強く、実用的といえる

(TEXT/松田秀士)

 BMWはエンジンのモジュール化を進めていて、ガソリンもディーゼルも1気筒500ccという枠のなかで共用パーツを多くして効率的な開発と製造を行っている。これによって3気筒なら1500cc、4気筒は2000cc、6気筒は3000ccとなる。

 X2は昨年デビューし、エモーショナルな内外装と走りで日本カーオブザイヤーの10ベストカーにも選出された。

 そのなかでも日本に導入されるX2ディーゼルエンジン仕様はX2 xDrive M Sport Xの1グレード。Mスポーツと付くだけに内外装がよりスポーティに仕上げられている。搭載されるディーゼルエンジンは直4の2Lターボ。

 こちらは旧型3シリーズなど、ほかのBMWやMINIにも搭載されるエンジンだが、旧型3シリーズに比べるとデチューンされている。おそらく燃費などのエコ性能を狙ったものとみられる。

 旧型3シリーズの190ps/40.8kgmに対して、X2は150ps/35.7kgmとなっていて、パワーもトルクも発生回転数は変わらない。

 ただし、燃費はJC08モードで3シリーズの21.4km/Lに対してX2では18.3km/L。トランスミッションは同じ8速ATを採用しているが、これはSUVゆえ、デチューンしても車重や空気抵抗の差によるものだろう。

 気になる加減速フィールは、低中速での力強さがあり同排気量のガソリンエンジンに比べて実用的だ。燃費も同クラスライバルと比較しても高い。また、BMWのディーゼルエンジンは静粛性が高く、特にアイドリング時もノイズが少なく近隣への迷惑度も低い。

〈BMW X2 xDrive M Sport X 諸元表〉
全長:4375mm
全幅:1825mm
全高:1535mm
最高出力/最大トルク:150ps/35.7kgm
J08モード燃費:18.3km/L
価格:534万円

オススメ指数:A

●BMW X3 M40d

直6、3Lディーゼルターボ。新世代の直6、3L BMW製ディーゼルターボエンジンを搭載する。ディーゼル車らしい力強さがありながら、上質さも兼ね備えた出来だ

(TEXT/諸星陽一)

 かつて3シリーズ系のプラットフォームを用いていたBMW X3だが、現在は5シリーズ系との共通性が高くなり、より上級指向にシフトしている。

 現在はX1、X2が存在するので従来ほどのベーシックSUVというイメージはない。とはいえ、プレミアムモデルというイメージは弱めだ。そんなX3にMの名を持つモデルが登場した。X3 M40dだ。ご存知のようにMとはBMW M社を表す符号で、特別にスポーティなモデルであることの証拠だ。

 M40dに搭載されるエンジンは3Lの直6ディーゼルターボで、最高出力は326㎰、最大トルクは実に69.3kgmにもなる。

 M40dはゆったりと流していると実にジェントルなクルマだ。トルクは太いがそれが必要以上にひけらかさないのだ。8速ATのミッションはスムーズかつシームレスにつながり、力強いながらもたおやかにクルマを走らせる。

 フロントタイヤは245/40ZR21、リアは275/35ZR21とかなりの太さ。BMWは通常はランフラットタイヤ、Mシリーズにはランフラットでないタイヤをチョイスするが、M40dはランフラットタイヤだ。にもかかわらず、乗り心地は上質な仕上げ、下りて確認するまでてっきり通常タイヤだと思っていたのだ。

 走行モードをスポーツにして、アクセルを床まで踏み込めば、大トルクに引っ張られたボディは怒濤の加速を披露する。しかもエンジン回転が実にスムーズなのだ。ノイズやバイブレーションもほぼ皆無。ディーゼルのいい部分だけを抽出している印象が高い仕上がりだ。

〈BMW X3 M40d 諸元表〉
全長:4725mm
全幅:1895mm
全高:1675mm
最高出力/最大トルク:326ps/69.3kgm
J08モード燃費:14.9km/L
価格:878万円

オススメ指数:AA

●メルセデスベンツ CLS 220d

直4、2Lディーゼルターボ。新世代のコモンレールシステムや、尿素SCR触媒などを採用。ディーゼル車だが、スタイリッシュさもほしいという人にオススメ

(TEXT/諸星陽一)

 メルセデスベンツCLSクーペは「C」の文字があるために「Cクラス」の派生モデルかと思われがちだが、何を隠そうベースは「Eクラス」。サッシュレスドアを採用したスタイリッシュなスタイルをメルセデスベンツでは4ドアクーペと表現する。

 Eクラスベースではあるもののサイズ的にはSクラス並みで、そのプレミアム感はある意味Sクラスよりも上。Sクラスが正統派のセダンであるのに対し、CLSは4ドアクーペの名のとおりスタイリッシュなスタイルが売りだ。

 日本仕様には直6ガソリンと直4ディーゼルの2つのエンジンを用意。ディーゼルエンジンは2L直4で、最高出力は194ps、最大トルクは40.8kgmの仕様。ドイツ仕様にはさらにパワーのある300d、3Lの350d&400dもラインナップされる。

 高級モデルだけにガソリン6気筒モデルのマッチングがいいのだが、ではディーゼルでどれくらい不満があるかといえば、実はあまりないのだ。比べると差は出る。だが、単独で乗れば充分にいいフィーリングだ。

 ゆったりと乗るにはディーゼルのほうが楽。つまり長距離では圧倒的に優位なのだが、ではスポーツ性が劣るかといえばそんなことはない。

 何よりシャシーとのマッチングがいいのだ。CLSはエアサスとコイルサスを組み合わせた足回りで、双方の特性を上手に引き出している。

 ガチガチな走りなら直6ガソリンや、さらにその上のAMGに任せればいいが、トルクを生かし、ジェントルに速く走るならディーゼルがいい味を出してくれる。

〈メルセデスベンツ CLS 220d 諸元表〉
全長:5000mm
全幅:1895mm
全高:1430mm
最高出力/最大トルク:194ps/40.8kgm
J08モード燃費:18.6km/L
価格:815万円

オススメ指数:A

●メルセデスベンツ Cクラス 220d

直4、2Lディーゼルターボ。メルセデス最先端のディーゼルテクノロジーを余すところなく投入。Eクラスと同じパワートレーンを採用しており、走りに余裕がある

(TEXT/諸星陽一)

 C220dとして新型となったCクラスに搭載されるディーゼルエンジンは、OM654型と呼ばれる新開発の直列4気筒2Lターボ。トランスミッションは9速ATだ。

 194ps/40.8kgmを発生し、1クラス上級モデルであるEクラスにも採用されている。実はEクラスとCクラスはプラットフォームを共用しているので、同じパワートレーンを採用することがイージーなのだ。このエンジンはこれまでのディーゼルエンジンと比較すると約35kgもの軽量化を達成している。

 具体的にはシリンダーブロック(クランクケース含む)をアルミ製としている。これに対してピストンはスチール製で、シリンダーとピストンの熱膨張率を改善し、メルセデス特許の加工技術と相まって摩擦抵抗を軽減している。また排ガス浄化装置も新開発して、NOx(窒素酸化物)の低減が図られクリーン度が増しているのだ。

 アイドリング音は室内が若干ディーゼルらしい騒々しさを感じるが、アイドリングストップがあるのでそれほど気にならない。ただし夏場に停止中エンジン始動した瞬間は静寂と喧騒の違いが気になるかもしれない。

 最大トルクが40.8kgmというだけあって、低回転域から非常に力強く、市街地の混雑も気持ちよく走れる。高速道路ではハーフスロットル弱のアクセル開度2000rpm付近で次々とシフトアップし、いつの間にか100km/hになっている。

 高速本線への合流でもストレスはなく、あまりアクセルを踏み込む必要がなく通常の合流はこなせる。

〈メルセデスべンツ Cクラス 220d SW 諸元表〉
全長:4705mm
全幅:1810mm
全高:1440mm
最高出力/最大トルク:194ps/40.8kgm
J08モード燃費:18.9km/L
価格:611万円

オススメ指数:A

●メルセデスベンツ Sクラス 400d

直6、3Lディーゼルターボ。最適な燃焼状況を作り出す先進テクノロジーを採用。ディーゼルながら、直6らしさも楽しむことができ、走りもいい

(TEXT/岡本幸一郎)

 直6になった最新版のディーゼルは、熱膨張率の違いにより温まると適度な隙間ができるようアルミシリンダーブロックとスチールピストンを組み合わせたり、燃焼室内の温度上昇を助け、処理システムが素早く活性化するよう排気側に可変バルタイを搭載するほか、ナノスライド機構、2ステージターボ、可変ターボジオメトリー、マルチウェイEGRなど数々の特徴的な内容を誇るのだが、その素晴らしい仕上がりには恐れ入る。

 エンジンを始動させてもアイドリングはとても静か。軽くアクセルを踏むと1000rpm付近でわずかにディーゼルであることを感じさせるものの、事前に知らされていなければわからないほど音や振動は小さく、アクセルレスポンスがリニアで回転フィールもなめらかであることに驚かずにいられない。

 走りっぷりもかなりのもので、蹴り出しが極めて力強く、重量級のSクラスであろうとものともせず軽々と加速させるし、むろん燃費も良好だ。

 加えて、いかにも直6らしいスムーズで爽快な吹け上がりとエキゾーストサウンドまで楽しめてしまうところも好印象。直6を好む人は今でも大勢いるが、そんな“直6”としての期待にもしっかり応えているところもエライ。

 さらには、最近では車内はそれなりに静かでも、車外では高圧ポンプなどが発する音が騒々しいクルマがメルセデスのガソリン車ですら少なくないが、そのあたりもさすがはSクラス。ぬかりなく対策されていることにも感心させられる。

 価格はそれなりに高いが、それだけの価値はある。

〈メルセデスベンツ S 400d 諸元表〉
全長:5125mm
全幅:1900mm
全高:1495mm
最高出力/最大トルク:340ps/71.4kgm
J08モード燃費:14.2km/L
価格:1138万円

オススメ指数:AA

●VW トゥーラン TDI

直4、2Lディーゼルターボ。3列目も実用的に使えるミニバンとして人気のトゥーラン。多人数乗車+ディーゼルの候補としては、魅力的なモデルといえる

(TEXT/諸星陽一)

 多人数乗車のクルマというジャンルでは、日本車は世界をリードしている。その日本車に迫る性能を持つのがVWだ。なかでもゴルフトゥーランは多人数乗車という面において、高い実用性能を誇っている。

 全幅が1830mmとアルファードより20mm狭いので、日本の5ナンバーミニバンに比べると横方向のパッケージングでは楽な部分もある。

 全長は4535mmと短め、全高も1670mmと低めで、このパッケージングに似通う日本車はない。しいて言うならオデッセイが近いが、オデッセイはもう少し全長が長い。

 さて、そんなパッケージングのトゥーランは多人数乗車のクルマとしての使いやすさを上手に獲得しているクルマだ。すべての席を独立してフォールディング可能。高さ方向の余裕は少ないが、荷物は積みやすい。

 日本のミニバンとは異なり、リアにはトノカバーも備える。ミニバンとは言いつつ、背の高いステーションワゴン的なクルマなのだ。

 搭載されるディーゼルエンジンは2Lで最高出力は150ps、最大トルクは34.7kgm。振動や騒音も上手に抑えられている。完全なるシャットアウトではないが、気になるレベルではない。

 また、適度に引き締められたハンドリングも魅力的。攻め込むといかにもドイツ的な部分が見えるのだ。

 今、国産車で多人数乗車のディーゼルは三菱のデリカD:5しか存在しない。デリカはオフロード性能も含めてかなりタフなクルマ。もっとカジュアルなディーゼル多人数車が欲しければ、トゥーランはかなりいいチョイスだ。

〈VW トゥーラン TDI 諸元表〉
全長:4535mm
全幅:1830mm
全高:1670mm
最高出力/最大トルク:150ps/34.7kgm
J08モード燃費:19.3km/L
価格:378万9000円〜

オススメ指数:A

●DS Automobiles DS7 クロスバック ブルーHDi

直4、2Lディーゼルターボ。アクティブスキャンサスペンションなどの先進装備も充実。ラグジュアリーなSUVにトルクフルなディーゼルがマッチする

(TEXT/諸星陽一)

 かつて、日本でのディーゼルエンジンに対する印象はトラック用、バス用のパワーユニットであり、少しでもランニングコストを下げるための手段……というものだった。

 今でこそディーゼルならではのよさを評価するようになったが、まさかこのクルマにもディーゼルが……というのが、DS7のブルーHDiというディーゼルモデルだ。

 DSはプジョー・シトロエングループの新ブランドで、プレミアムを大きく意識している。DS7クロスバックは、デザインのためのデザインを採用したモデルで、多くの部分に“キラキラ”した装飾が施されている。

 日本人の感覚ならDS7にまず選ばないであろう、ディーゼルエンジンを積んでしまっているところを理解するのが難しいのだが、これが乗ってみるといい。DS7を特徴付けているのは、かつてのハイドロニューマチックを彷彿とさせる、ゆったりとした乗り心地にある。その乗り心地、そしてハンドリングとのマッチングがいいのがディーゼルエンジンなのだ。

 同時にガソリンエンジンとディーゼルエンジンを試乗しているが、ガソリンエンジンはかなりイケイケなフィーリング。対してディーゼルエンジンはゆったりとしたフィーリングでDS7の世界観とマッチする。

 低速からグッと持ち上がるトルクフルなフィールとそれとマッチして連続感を持ってシフトアップしていく8速ATとの組み合わせが、実に気持ちいい。モーターとはまた違う力を感じながらのドライブはDS7のプレミアム感を上手に表現している。

〈DS 7 ブルー HDi 諸元表〉
全長:4590mm
全幅:1895mm
全高:1635mm
最高出力/最大トルク:177ps/40.8kgm
J08モード燃費:16.4km/L
価格:469万円〜

オススメ指数:A

●プジョー 308ブルーHDi

直4、1.5Lディーゼルターボ(従来型2Lディーゼルターボもあり)。アリュールのエンジンは、新型で1.6Lディーゼルから1.5Lディーゼルに変更。排気量は小さくなったが、走りも燃費も旧型に比べてレベルアップ

(TEXT/松田秀士)

 プジョー308に搭載されるディーゼルエンジンのブルーHDiには同じ直列4気筒で新開発の1.5Lディーゼルと2Lディーゼルの2種類がある。

 1.5Lディーゼルは130ps/30.6kgmで、2Lディーゼルは177ps/40.8kgm。ともに8速ATを採用しているが、エンジンの出力特性に合わせてギヤ比&最終減速比は整合されていて、プジョーらしいこだわりが感じられる。

 注目は新開発の1.5Lディーゼルで、従来型1.6Lディーゼルから81%のパーツを新設計。環境面では、新設計のミキシングボックスでアドブルーを攪拌し排ガス浄化性能をアップ。欧州の新しい規制であるEURO6.2をクリアし、今後のより厳しい規制にも対応できるという。

 実際に走って楽しいのは各走行モードのスポーツモード。一瞬「あれっ? これディーゼルだったよね?」とガソリンエンジンと勘違いするほどのエンジン音が室内にコダマする。なんてことはない、ガソリンV8スポーツモデルのようなエグゾースト音をスピーカーから流しているのだ。

 つまり、スポーツモードを選択してアクセルを踏み込めば、なんちゃってハイパワーガソリンエンジンが楽しめる。だからディーゼル音が気にならない! トルクも1750rpmですでに30.6kgmを発生。しかも8速ATだしなかなかのもの。

 アイドリングを含めて、振動と騒音ともに静粛性が高い。JC08モード燃費は、24.3km/Lとあっぱれな数値を叩き出す。しかも、最新技術を投入したディーゼルなのに車両価格がバーゲンプライス!

〈 プジョー 308 ブルー HDi 諸元表〉
全長:4275mm
全幅:1805mm
全高:1470mm
最高出力/最大トルク:130ps/30.6kgm
J08モード燃費:24.3km/L
価格:304万9000円〜

オススメ指数:AA

●VW パサート/パサートヴァリアント TDI

直4、2Lディーゼルターボ。ディーゼル問題で遅れていたが、このパサートがディーゼルモデル第一号として日本に導入された。しかしパサートよりはオールトラックのほうが好印象。改良に期待

(TEXT/岡本幸一郎)

 いろいろ騒動があったあとに、約2年越しで日本に導入されただけに、どんなものかとても気になっていたのだが、正直やや期待はずれな気もした。

 このクルマの場合、組み合わされるのがDSGである点がポイント。トルコンがないので、クラッチへの負荷を低減するための初期のトルクの立ち上がりをあえて抑えているようで、アクセルを踏んでも最初の反応が乏しく、少し遅れてトルクが出てくる。

 そこからはディーゼルらしく力強く加速するのだが、音や振動は今どきのクリーンディーゼルとしてはやや大きめだ。

 せっかく2年もあったのだから、それなりに洗練されているものと思っていたのにそうでもなくてちょっと残念に思っていた。

 ところが、少し遅れて登場したオールトラックは別物。4WD化されたとはいえ同じエンジンを積むはずなのに、ずっと静かで振動も小さく、アクセルレスポンスもずっと改善されていたからだ。だから普通のパサートも、最新版ならもう少し改善されてよくなっているのかもしれない。 

 とはいえそのオールトラックをもってしても、他社の最新版に比べると、低速域では静粛性にややひけめを感じるのが正直なところだ。

 ちなみにこのエンジンは、例の騒動を起こした張本人ではなく、尿素水を用いた新しいタイプで、VWとしては最新版となる。

 といってもすでに登場から7年が経過しており、古さを感じるのは否めないし、向こうではさらなる改良版も発表されている。その新しいディーゼルがどんなものかが気になるところだ。

〈VW パサートヴァリアント TDI 諸元表〉
全長:4775mm
全幅:1830mm
全高:1485mm
最高出力/最大トルク:190ps/40.8kgm
J08モード燃費:20.6km/L
価格:442万9000円〜

オススメ指数:B

●VW ティグアン TDI

直4、2Lディーゼルターボ。クリーンディーゼル×4WDの都会派SUVというモデル。他社のディーゼルやVW本国仕様のディーゼルと比べると厳しい

(TEXT/国沢光宏)

 基本的に新世代のクリーンディーゼルはエンジン振動も騒音も少なく快適なのだけれど、ティグアンに乗って「あれれれ?」。

 アイドリングでは、昔ながらのキンキンカリカリ系のディーゼルノック音が出るし、走り出しても重ったるい感じ。イメージとしてランクル・プラドなどに搭載されている商用車系のディーゼルです。

 VWはディーゼルに何種類かのチューニングレベルを用意しているが、ティグアンの150ps仕様、あんまり質感高くない。

 走り出しても紛うことなきディーゼルである。音階で言えば「ド」の音。走り出すや、ずーっと「ド~」という音が聞こえる感じ。考えてみればBMW&ミニに搭載される150ps仕様もイマイチですね。

 どうやらヨーロッパだと2Lで150psは燃費や経済性を重視した設定のようだ。以前ヨーロッパで乗った190psのVWディーゼル、こんな安っぽくなかった。

 とにかくガソリン車並みに静かだと言われるクリーンディーゼルながら、ティグアンについちゃ少し期待に届かないかも。

 もうひとつ。ツインクラッチとディーゼルの相性もイマイチだと思う。ツインクラッチ、渋滞などでギクシャクする。走り出してすぐ前のクルマが減速し、また加速するような状況で、どのギアを選んだらいいか迷うのだろう。変速しないで高い回転をキープすることもある。

 こういった走行モードにイナーシャ(慣性)の大きいディーゼルは向かないようだ。渋滞のなかを走っているとマニュアルシフトしたくなってくる。

 少なくとも都市部だとガソリンのほうがいい。

〈VW ティグアン TDI 諸元表〉
全長:4500mm
全幅:1840mm
全高:1675mm
最高出力/最大トルク:150ps/34.7kgm
J08モード燃費:17.2km/L
価格:417万9000円〜

●オススメ指数:C


【番外コラム】 モデル末期ながら貴重なコンパクトFR BMW118dもオススメだ

 BMWファンがガソリン直6こそがBMWの真骨頂と賞するが、そんなことはない。どんなエンジンでも、機械としての魅力を放つのがBMWエンジンの素晴らしいところ。

 ディーゼルエンジンのよさを表す言葉として「ガソリンエンジン並み」という表現が使われることがあるが、118dのエンジンはガソリンと並べて比べるべきではなく、小排気量ディーゼルとしての素質の高さを絶対値で語るべき貴重な存在だと言える。

BMWというメーカーはつくづくエンジン屋さんなんだなあ……と感じさせてくれたのが、118dの試乗における最も大きな印象だった。オススメ評価はBとしておきたい

 フラットに発生するトルクと8速ATとのマッチングはよく、シームレスにシフトアップし加速していく。シフトアップ時の加速の落ち込みやショックがないのは、ミッション側の反応速度のよさだけではなく、エンジン特性がフラットトルクでなおかつ制御がいいからにほかならない。

 ディーゼルの太いトルクを生かしたロングツーリングでイージーさを披露するだけでなく、BMWのFRらしいシャープなハンドリングも楽しめるのが118dだ。

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