トラックもSUVも眩しすぎる後付けLEDライト急増!! 点灯したまま走行は合法? 違法?

■乗用車ドライバーの目に刺さる強烈な光!

 異常に眩しいLED作業灯は、前述した「側方灯」や「側方照射灯」、「LEDマーカーランプ」とは異なるもので、本来純正の「路肩灯」(後輪灯、タイヤ灯ともいう)が設置される場所に取り付けられていることがほとんどだ。

LEDライトの普及で近年、自動車のヘッドライトは眩しさを増している。全般的に安全性は増しているが、それでも「程度」というものがあり、なにより法規に縛られている…はず…なのだが…(AdobeStock@beeboys)
LEDライトの普及で近年、自動車のヘッドライトは眩しさを増している。全般的に安全性は増しているが、それでも「程度」というものがあり、なにより法規に縛られている…はず…なのだが…(AdobeStock@beeboys)

 つまり、乗用車ならちょうど目の高さに位置しており、光源むき出しのLED作業灯から発せられる強い光は、斜め後ろや横方向の位置では思わず目をそむけたくなる眩しさだ。

 それでも2車線以上の道路なら通り過ぎてしまえば問題ないが、片側一車線の追越禁止道路で延々とこの眩しいトラックの後ろを走るシーンは非常に苦痛。直線道路を真後ろについて走るならば視界には入ってくることはないが、カーブでトラックの側面が見える状態になると、位置関係によっては眩しいライトが網膜を焼き尽くさんばかりの勢いで視界に飛び込んで来る。

 LED作業灯にはどのような規定があるのか? そもそもなぜ周囲に迷惑をまき散らしながら、点灯したまま走るのか?

 路肩灯は道路運送車両法第42条で「その他の灯火」として以下に規定がある。

・300カンデラ以下
・点滅しない
・直射光や反射光が他の自動車の運転を妨げない

周囲に迷惑がかからないよう下部にはカバーがあり光の拡散防止のため「傘」もついている
周囲に迷惑がかからないよう下部にはカバーがあり光の拡散防止のため「傘」もついている

 正しい路肩灯はこのようなもので、笠がついており下部にも覆いがあり後続車に幻惑を与えない構造になっている。

 位置としては「路肩灯」がある場所に取り付けられているから「路肩灯風作業灯」だが、非常に眩しく走行中もずっとついている。なぜ?走行中も点灯したままなのか?

 色々と取材を重ねたところ、得た結論は「カッコいいから」「目立つから」ということで、周囲の交通にとってまぶしく感じることなどはほとんど考えてないようだった。

 友人の大型トラックドライバーに聞いたところ、あの眩しいLED作業灯は乗用車やSUVだけではなく、車高が高い大型トラックにも眩しくてウザイ存在とのことだった。

「本来、路肩灯は光源が他のドライバーから見えないように取り付けないとダメなんですが、眩しいLEDライトにはほとんど笠がありません。そして光源を下向きにつけているものもありますがごくわずかです。もちろん、規定の300カンデラを大幅に明るいライトですから走行中に使用することは厳禁なのです。
自動車メーカー純正の路肩灯はメーカーによって呼び名は違いますが、日野では『後輪灯』といって点灯するときはハンドル周りのスイッチをONにします。300カンデラ以下に規制されているので走行中の使用も可能です」(都内物流会社の大型トラックドライバー)

 LED作業灯を路肩灯として使用できる仕様(サイズや取り付け方法など)として多くのLED作業灯が販売されており、どれも2000~3000円前後で安価だ。中には走行中の使用はできないことが明記されているサイトもあるが販売しているサイトは多数ある。点灯したままでは法令違反であることがしっかり明記されていないサイトも少なくない。

■乗用車にも増えている、グリルに取り付けられた四角い大きなLED

 眩しいLEDライトで周囲に大迷惑を掛けているのはトラックだけではない。つい先日も高速道路を走っている時に、トンデモない軽ワゴン車に遭遇した。バックミラ―に映った時、「え? このクルマ何??」と驚いた。

同乗者が撮影。これ一車線道路で真後ろにつかれたら、バックミラーを直視できない
同乗者が撮影。これ一車線道路で真後ろにつかれたら、バックミラーを直視できない

 近づいてきてやっとわかったが、フロントグリルに大きな四角いLEDライトがセットされて眩しさをまき散らしながら走行している軽自動車だった。よく見るとなんとヘッドライトが点灯していない。さらにバンパーにも眩しいフォグランプ? のような照明が上下左右に各2灯装着されている。ヘッドライトの代わり? としては認められない位置である。

 ドライバーからしてみれば明るく、ヘッドライトの必要性は感じないかもしれないが、ヘッドライトを点灯せず、作業灯だけで走行するのはもちろん道路交通法違反である。

 また、明らかに300カンデラ以上(推定数万カンデラ)ある作業灯を点灯したまま走ることは道路運送車両法違反となる。

 トラックのみならず、乗用車にまで増えつつあるLED作業灯の規定はどうなっているのか?オートサロン会場でLED作業灯を出展している会社に聞いてみた。
「あくまでもこれらのライトは作業をするときに安全に明るく作業を行うための照明ですから、走行している時に点灯させてはダメです。これらのライトを保安基準に適合させる場合は走行中に点灯しないよう、Pレンジやサイドブレーキを引いた時だけに点灯できるよう配線をセットする必要があります」との回答だった。

 ところで、国土交通省は違法LED作業灯についてどこまで現状を把握しているのだろうか?このたびの記事を書くにあたってLED作業灯や路肩灯、側方灯等の最新基準について丁寧にお答えいただいた国交省自動車局安全・環境基準課の担当者に聞いてみたところ…、

「路肩灯の代わりに規定に反したLED作業灯を使用している例があることは聞いていましたが、それらの眩しい光が乗用車のドライバーを幻惑させていることについては認識がありませんでした。」

 とのことだった。今後はこちらも不正改造車として取締りを強化してほしいものだ。

 強烈な白い光を放つLED作業灯が走行中も常時点灯しているのは他の交通にとっても非常に迷惑であり、さらには重大な事故を引き起こす危険もある。

 しかもそれらのライトは走行中に常時点灯される必要性もない。巻き込み防止のために後輪付近を確認するためなら、メーカー純正の路肩灯、後輪灯のようにスイッチでON/OFFできる仕様にすべきだろう(明るさが300カンデラ以上ならスイッチをつけても法令違反)。

 LED作業灯を走行中も点灯させているクルマのドライバーは、今一度、周囲の迷惑や危険性を考えてみてほしい。

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