■e-POWERとTHSIIのハイブリッド対決
日産はもうアルファードに対抗するのを諦めたのではないか。
現行型(3代目)エルグランドが、実に12年間もモデルチェンジすることなく販売され続けているのを見ると、正直そんな風にも思えてしまう。
しかし、捲土重来を期した新型の開発は今、着実に進んでいるのだ。
次期エルグランドに関して現在入っている情報は以下のとおりだ。
日産ルノー三菱アライアンスで使われるCMF(コモンモジュールファミリー)-C/Dプラットフォームを採用する。
このプラットフォームは日産主導で開発されており、最新版は新型アウトランダーPHEVにも使われて高い評価を得ているほか、次期エクストレイルもこのプラットフォームとなる。
パワーユニットはシリーズハイブリッドのe-POWERが主力となる。発電用エンジンは新開発の可変圧縮(VC)ターボの3気筒、1.5L仕様が使われるという情報で、従来型のe-POWERよりもハイパワーにできるのが特徴。
エンジンスペックは204ps/30.6kgm、モーター出力は180~190ps程度になるだろう。前後にモーターを配置する4WDも用意される。
一方、次期アルファードはカムリ、RAV4、ハリアーなどに採用されているTNGAのFF車用GA-Kプラットフォームが使われ、パワーユニットは、こちらもTNGAの思想で開発された直4、2.5Lのハイブリッドと2.4Lガソリンターボとなる。
TNGAプラットフォームは低床、低重心で操縦安定性に優れているのが特徴なだけに、次期アルファードもその特徴を生かし、現行型よりも全高が10~15mm低くなるという情報だ。
とはいえ、もちろん室内の広さがスポイルされることはなく、室内高は現行型と同等が維持される。
ハイブリッドは新型ノア/ヴォクシーからスタートした新世代のTHSIIが使われ、動力性能と燃費性能がともに向上。
2.5Lのエンジン自体も新しいダイナミックフォースエンジンとなることから、その走り味は現行型から大幅にレベルアップすることになりそうだ。
また、V6を廃止する代わりのエンジンとなる直4、2.4Lガソリンターボは280ps/43.8kgmのハイパワーで、こちらもアルファードの新たな走りの世界を提供してくれる。
■デザインテイストは明確に異なる
エクステリアデザインも両車の対決の重要なポイントとなる。
アルファードは先述のとおり少し背を低くして、低重心を感じさせながらも威風堂々としたフォルムは健在。
特徴のひとつである大きく、派手なフロントグリルはさらに強化されて、他車を圧倒する世界を作り出す。
現行型のデビュー時には「ミニバンの皇帝」とも呼ばれた世界観はそのまま引き継がれるから、アルファードファンの期待もさらに膨らむというものだろう。
トヨタのすべての販売店で全車種を扱うようになったことで、兄弟車のヴェルファイアは消滅すると言われているが、そうであってもアルファードに標準ボディとエアロボディの2種類が設定される可能性は高く、多様なユーザーに対応していくことになる。
エルグランドは角張ったボクシーなデザインになるとの目撃情報があり、そこが特徴となりそうだ。
とにかく派手なフロントグリルで個性を発揮するアルファードに対し、エルグランドは別路線。同じテイストで戦っても「皇帝」相手では不利が否めず、独自のテイストを追求していくことになりそうだ。
運転支援システムに関しても熱い戦いが繰り広げられる。「トヨタチームメイト」と日産の「プロパイロット2.0」は、ともに渋滞時のハンズオフ走行を可能とするほか、自動駐車システムなども最新バージョンが用意される。もちろん、安全装備も進化する。
また、今のところ明確な情報はないが、アルファード、エルグランドともにPHEVが設定される可能性も高い。
自社開発のユニットを使えるトヨタはもちろんだが、日産もアライアンスを組んでいる三菱アウトランダーPHEVのシステムが使える。
アウトランダーとはプラットフォームが共通となるから、そのまま移植するのは難しい話ではなく、その場合、エンジンも含めたユニットとなり、e-POWERR用のVCターボではなく、三菱の2.4Lエンジンがそのまま使われることになる。
新たに認証を取る必要もなく効率的に展開できるメリットもある。
登場時期はともに2023年で、アルファードが夏頃、エルグランドが年末というのが最新情報。無敵のアルファードに、元祖のエルグランドが挑む激しい戦いが始まる。
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