■デザインは未来的だが中身は堅実な進化
三菱自動車は3月5日より開催しているジュネーブショーにて、新世代クロスオーバーSUVのコンセプトカー『MITSUBISHI ENGELBERG TOURER(ミツビシ・エンゲルベルク・ツアラー)』を世界初披露した(※)。
このモデルの最大のポイントはPHEV仕様であり、かつ3列シート仕様車であること。
デザインを見るかぎり試作車のイメージが強く、「市販しないだろうなぁ…」と思ってしまいがちだが、搭載するのはアウトランダーで実績のあるツインモーター方式のPHEV(2.4Lガソリンエンジンとの組み合わせ)であり、ランエボで培ったAYCとS-AWC(Super All Wheel Control)」を採用するなど、かなり現実味のあるシステム。
なによりバッテリーの搭載位置の問題で現行型アウトランダーPHEVには3列シート仕様が存在しないが(2列シート5人乗りのみ)、このENGELBERG TOURERはきっちり3列7人乗り。
アウトランダーPHEVがEVモードでの航続距離56.7km(WLTCモード)なのに対してこのENGELBERG TOURERは70km以上走るという。つまりパッケージングもバッテリーもしっかり着実に、そして大幅に進化しているわけだ。
さらに走行モードとリンクしたコネクティッド機能を持っており、ナビゲーションに目的地を打ち込むと途中の経路に合わせた走行モードを選択。駆動用バッテリーのエネルギーマネジメントや四輪統合制御により、最適な駆動力配分を行うことで、安全、快適な走行をしつつ、燃費向上にも寄与するという。
ボディサイズや開発の進捗などは発表されていないものの、この「中身は非常に現実味のある」コンセプトカーは、次期パジェロ、あるいはアウトランダーの上級モデルとして市販に向けた開発が進んでいると考えるのが自然だろう。
デザインについてもこのテイストが今後の三菱の新型車に取り入れられるはず。
欧州といえば日本市場以上にSUVカテゴリーの競争が激しいマーケット。そこに(主にシステム面で)現実味のあるコンセプトモデルを投入したということは、かなりの自信もあるとみた。今秋の東京モーターショーでさらなる進化版が見られることを楽しみに待ちたい。
※…「エンゲルベルク」はスイス中央部にある山間部の村で、壮大なパノラマの景色を楽しむことができる有数のスキーリゾート。自然で人の手が入っていない地形で滑走するスキーのスタイル、フリーライディングを楽しむことができ、世界中から観光客が訪れている
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