エセ科学のマユツバもんじゃなかった!! 庫内の「臭い」を消す日本フルハーフの新製品がスゴかった!!

エセ科学のマユツバもんじゃなかった!! 庫内の「臭い」を消す日本フルハーフの新製品がスゴかった!!

 あまり知られていないが、冷凍車などバン型車の庫内の「臭い」に困っているトラックユーザーは意外と多い。
 
 経営環境厳しき折、荷物さえあれば何でも運びたいのが運送会社の偽らざるところであるが、混載すると臭い移りしてしまうため、やむなく効率的な運行をあきらめざるを得ないケースも多いという。つまり消臭や抗菌は、実は冷凍車の隠れた課題なのである。

 そんな中、日本フルハーフから消臭・抗菌を謳う「プレミアムフルハーフコート」なる商品が登場した。しかし、この商品、聞けば聞くほど何だか怪しげなのだ。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部、施工写真/日本フルハーフ
*2024年12月発行「フルロード」第55号より

日本フルハーフが製品化したちょっと怪しい商品について

冷凍車の悩みのタネ「臭い」。ドライバーさんにとって庫内洗浄の負担も大きい
冷凍車の悩みのタネ「臭い」。ドライバーさんにとって庫内洗浄の負担も大きい

 世の中には、いかにも科学的なふれこみで、実はエビデンスのないエセ科学というものが多数存在する。その代表的な例が血液型性格診断であろう。「あの人は血液型がA型だから慎重で生真面目」「この人はO型だから社交的で明るい」などと、勝手に性格診断を下してしまう例のアレである。

  誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な括りなのに「スゴい! ぜんぶ当たっている!」と思い込んでしまう心理現象をバーナム効果というらしいが、血液型などというちょっと科学的な類別にこのバーナム効果が加わって、この血液型性格診断を信じている人は未だに多い。まったく科学的根拠がないエセ科学なのだが、さほど実害がないから野放しのまま今も廃れないのであろう。

 しかし、実害のあるケースもある。早い話、これまでトラックの分野でもこういったエセ科学を装ったたくさんの詐欺的商品が生み出されてきた。古くは排ガス浄化グッズに始まり、パワーアップデバイス、そして省燃費グッズなど、各種添加物やら磁気ベルト、電磁パルスやらイオンパワーなどなど、よく理解できないけれど何だかスゴそうな先端技術を謳い、眉に唾をつけたくなるような効能を掲げる商品は、今もあとを絶たない。

 もちろん、信じる者には効果がみられるというプラシーボ効果(プラセボ効果)というものもあるようなので、一概に効果がないと断じることはできないのかもしれないが、公正取引委員会や消費者庁から効果が認められないとして措置命令や排除命令が出されたケースもあり、大多数はまがい物といってもいいと思う。

 ということで、ここからが本題である。これまで、いかにもエセ科学的なふれこみで、ありえないほど高い効能を謳う商品に関しては、眉に唾をつけたほうがいい、我々はコロッと騙されないぞ! という覚悟を表明してきたつもりである。
 
 そこで取り上げる商品が、酸化還元反応を利用したハイブリッド触媒というもので、圧倒的な消臭、抗菌、抗ウイルス、有害物質分解の効果があり、トラックの庫内に一度スプレーガンで塗布しておくと、7年以上、何もしなくとも効果が持続するというものだ。
 
 いやはや怪しい、まさにマユツバものの商品ではないだろうか!? しかし商品化したのは、日本一のカーゴ系の架装メーカーである日本フルハーフである。商品名は「プレミアムフルハーフコート」という。

 本当に大丈夫なのか、フルハーフさん!! こうして半信半疑のまま、というか一信九疑くらいの気持ちで取材を開始したのだが、そこには驚きの結果が待っていた。

フルハーフコートの技術的な要「ハイブリッド触媒」とは

 冷凍車をはじめバン型車は庫内に臭いがこもり、また、衛生管理にも注意が必要である。よく停車中にリアドアやサイドドアを開放している冷凍車などを見かけることがあると思うが、あれは庫内の通気をよくするためだ。ただ、庫内の消臭には、これまでさまざまな手法が用いられてきたが、実は「これ!」という有効な手段がなく、長年隠れた課題となっていたのだ。
 
 日本フルハーフの「プレミアムフルハーフコート」(以下フルハーフコート)は、その消臭に長期的に効果を発揮すると謳う商品で、もしそれが本当なら潜在的なポテンシャルはかなり高く、冷凍車ユーザーをはじめ臭いや抗菌に困っている運送事業者にとって朗報となるだろう。

 では、フルハーフコートとは一体どういったものなのだろうか? まず、日本フルハーフ開発第一部新商品開発グループの塩見隆児主査に話を聞いた。

今回お話を聞いた日本フルハーフ開発第一部新商品開発グループの塩見隆児主査
今回お話を聞いた日本フルハーフ開発第一部新商品開発グループの塩見隆児主査

 「フルハーフコートは、ハイブリッド触媒と呼んでいますが、鉄イオン触媒の強力な酸化力を利用して、細菌、臭いの原因物質を破壊・分解する抗菌・消臭機能材になります。ハイブリッド触媒は、大学との連携研究体制により開発されました。それをラーフエイドという施工技術により、的確にコーティングすれば長期間にわたり消臭・抗菌効果が維持できます。

 トラックは積み荷として、魚、肉、野菜、ケーキ、パン、乳製品、卵液、あるいはプラスチック製品など臭いのあるものをよく運びますし、新車臭と呼ばれる溶剤の臭いもありますが、そういったものによく効きます。

 ただ、タバコの臭いは苦手で、タバコは結合している分子が何千種類もありますので消臭できないそうです。このほか、タイヤの臭い、これはタイヤに塗られている油の臭いになりますが、これも苦手ですし、コーヒーや腐った玉ネギなどにも弱い。得意なものが圧倒的に多いですが、一部苦手なものもあります。

 フルハーフコートは、庫内の壁や天井、床など全面にスプレーガンで塗布するのですが、ハイブリッド触媒は99.9%以上が水でできているので、手にかかっても大丈夫ですし、極めて安全性が高い。直接触れるものや場所に塗布するわけですから、安全性の確保は重要です。

 このため、第三者検査機関において安全性評価基準への適合を確認しています。たとえば、『急性経口毒性試験』『復帰突然変異試験』『皮膚刺激性試験』『皮膚感性試験』『皮膚貼付試験』、さらに『染色体異常試験』まで実施しており、まったく問題がないことを確認しています」。

次ページは : 割と簡単なフルハーフコートの施工

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