各国の大統領や富豪、超有名芸能人、アスリートが防弾ガラスなどを採用した特殊な車両に乗っていることは広く知られている。しかし、セキュリティの観点から詳細は分からないことが多く、もちろん売りに出されるケースも少ない。しかし、久しぶりにアメリカ大統領専用車がオークションに登場。その特殊性が明らかになった。
文:古賀貴司(自動車王国) 情報元:メカムオークション
【画像ギャラリー】ガラスの厚みよ!! 大統領専用車のスゴすぎる全貌を隅々どうぞ(10枚)画像ギャラリーアメリカ大統領には不可欠な専用車
つい先日、第47代アメリカ大統領として返り咲いたトランプ大統領は、街中を移動する際は戦車のような大統領専用車「ザ・ビースト」を使う。
詳細は明かされていないもののザ・ビーストには、ジェームズ・ボンド映画さながらの装備が搭載されているとされる。
一説によるとスモークスクリーン、襲撃者を撃退するための120ボルトの電流を流すドアハンドル、敵車両を制御不能にするためのオイル散布装置なども備わっているそうだ。
さらに、ポンプアクション式ショットガン、ロケット推進式グレネード、暗視装備、催涙ガス弾なども装備しているとか。
このような装甲車が大統領専用車として用いられるようになったのは第二次世界大戦開戦後、フランクリン・D・ルーズベルト大統領が防弾仕様のキャデラック・タウンセダンに乗ったのが始まりである。
ただ、この車両は「シカゴ・ギャングのボス」という異名を持つ、アル・カポネから脱税容疑で差し押さえた車両を転用していたのだ。この車両は防弾ガラスを備えているだけで、十分な防護性能とは言えなかった。
本格的な装甲車として、防弾ガラスだけでなくボディパネルにまで防弾処理を施した大統領専用車、リンカーン「サンシャイン・スペシャル」が登場したのは1942年のことである。
以降、歴代大統領には防弾仕様の専用車が用意されてきた。ただし、ジョン・F・ケネディ大統領がパレードで使用したリンカーン・コンチネンタル・リムジンのコンバーチブルは、その脆弱性が後の悲劇を招くことになる。
【画像ギャラリー】ガラスの厚みよ!! 大統領専用車のスゴすぎる全貌を隅々どうぞ(10枚)画像ギャラリー総重量5000kgを超える防弾仕様のブロアーム
そんな大統領専用車が市場に出回ることは、ほとんどない。しかし、去る1月18日に開催されたメカムオークションに1996年式のキャデラック・フリートウッド・ブローアム大統領専用車が出品された。恐らく市場に流通している“最新”モデルであろう。
防弾・防爆仕様の大統領専用車としては比較的新しい部類なのだが、製造から29年を経た現在、その技術や仕様に機密性は残されていないのだろう。
車体は床部分を含む全面に装甲が施され、M-16ライフルの銃弾にも耐えうるB6基準の防弾性能を有する。車両重量は驚異の5440kg以上。
動力源には、NASCARの伝説的チームオーナー、ジャック・ラウシュ率いる「ラウシュ・レーシング」特製の7.4リッターV8エンジンを搭載している。
防御システムは当時の最高水準を誇る。7.6cm厚の特殊ガラスによる完全防弾、車体全体に施された防爆装甲、化学兵器対策用の酸素供給システムと消火システムを完備。
さらに、攻撃によるタイヤ破損を想定し、パンクしても走行可能なランフラットシステムも採用している。
走行距離はわずか627マイル(約1,007km)。これはリスク最小化の観点から、シークレットサービスが大統領の車両移動を極力制限していたためだ。目安は30分以内の移動だそうな。













コメント
コメントの使い方ランフラットタイヤ。日本でもかなり前、ソアラに採用されたように記憶してるけど。