2025年1月の東京オートサロン2025で公開された、トヨタ GRヤリス Mコンセプト。そのミドに搭載される2Lターボエンジン、当初は1.6Lだったが、誰あろうモリゾウさんの「物足りない!」のひと言から開発が始まったという!!
※本稿は2025年1月のものです
文、写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年2月26日号
当初は3気筒1.6Lターボだった
クルマ大好きおじさん、モリゾウさんは我々と同じような夢を見るらしい。GRヤリスに搭載されている3気筒1.6Lターボエンジンを「ミドに積んだら面白くない!?」と思いついたのがモリゾウさんなら、「1.6Lじゃ物足りない。2Lでやってみよう」と提案したのもモリゾウさんなのだ。
嘘のようだけど、本当の話。モリゾウさんがGRヤリスの1.6Lターボエンジンをミドに積んだテスト車に初めて乗ったのが2023年の初頭。国内で試験車両に乗った時は「やっぱりミドシップはいいね!」と満足げだったそう。
特にミドシップ4WDの旋回性のよさは、フロントにエンジンを搭載するGRヤリスがどうしてもアンダー傾向にあるのに対し、気持ちよくスーッとコーナリングできるから、「雑味のない4WD」とでも表現したらいいだろうか?
ミドシップだから、ハンドリングは軽快なうえ、コーナーリングの立ち上がりではフロントにしっかりと駆動がかかる4WDということで、安心してアクセルを踏んでいける。文句のないミドシップ4WD! 開発陣もこれならいけそうだ、とほっと胸をなでおろし、開発が進んでいった。
【画像ギャラリー】2Lターボエンジンを新開発!! トヨタ GRヤリス Mコンセプトとモリゾウの2025年「こうなる予定」10大ニュース(13枚)画像ギャラリーニュルでの走りで2Lに変更
ところが、ニュルブルクリンクに試験車両を持ち込み、モリゾウさんが乗ったところ「コーナリングは凄く速いが、直線が物足りない」とコメント。もちろんクルマがいいからこそ、もっとパワーが欲しくなる道理なのだが、とはいえ1.6Lではパワー的には限界だ。
そこでモリゾウさんは「2Lでやってみたら、どうだろう?」と提案。そう考えるところがマスタードライバーであり、クルマ好きのおじさん、2つの顔を持つモリゾウさんの凄いところ。
しかし、GRヤリスのミドに2Lエンジンが搭載できるスペースはない。普通なら「さすがにそれはムリでしょう」となるのだが、ここで諦めないのが開発チームとモリゾウさん。
「入らないなら入る2Lエンジンを作っちゃえ!」 と生まれたのがあのコンパクトな2Lエンジンというわけだ。小さく効率的なため、汎用性も生まれた。
2024年の東京オートサロンで展示し、エンジンが再び脚光を浴びたことで、開発は加速。将来的にはセリカが2Lのミドシップ4WDとして市販化を検討されるところまで進んでいった。
ただし、この2LターボとなったGRヤリス Mコンセプトにモリゾウさんは乗っていないそうで、これから国内でテストし、2025年夏以降、スーパー耐久に実戦投入される予定だ。もちろんその先にあるのはニュルブルクリンクだ。
モリゾウさんがどんな印象を語り、さらにどんなクルマに進化していくのか気になるところ。ちなみに気になる馬力は「400馬力くらいはいきたい」という声も聞くことができたから、「凄い」が止まらない。
ふつうのクルマ大好きおじさんの感覚を忘れないモリゾウさんだからこそ「夢」を叶えてくれる。「ありがとうモリゾウさん!」以外言葉が見つからない。
【画像ギャラリー】2Lターボエンジンを新開発!! トヨタ GRヤリス Mコンセプトとモリゾウの2025年「こうなる予定」10大ニュース(13枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方ニュルは完全に馬力がモノを言う高速サーキットですからね。そこで試したら馬力欲しくなるのは必至。
とはいえ、GRヤリスはプラットフォーム的に三気筒までしか積めないので、四気筒化はミッド搭載したからこその流れ。
もしもミッド化で試作車作っていなかったら、G20Eはその存在自体が生まれなかった可能性高いです。何がどう転ぶか分かりませんね