豊田合成が自社開発を進める「自動二輪車用エアバッグ」が実車衝突試験に突入。二輪車に乗るすべての人の安全を目指す革新的なこの技術、どこまで進化しているのか?事故リスクが高いバイクに新たな安心をもたらす、注目の取り組みに迫ります。
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
バイク乗り待望の新安全装備、自動二輪車用エアバッグとは?
四輪車では今や当たり前のように搭載されている「エアバッグ」。しかし、ライダーにとってはこれまで「着る」タイプのエアバッグ(エアバッグベストなど)が主流で、車両本体に組み込まれる形式のものは限られていました。
そんな中、豊田合成株式会社が「自動二輪車用エアバッグ」の開発を加速しているというニュースは、まさにバイク業界にとって朗報といえるでしょう。
2024年6月に発表されたこの取り組みでは、同社が自社施設にて実車による衝突試験を実施。試験では、バイクの正面衝突を想定し、エアバッグがどのように展開し、ライダーの身体をどのように保護できるのかという検証が行われました。
その結果をもとに、さらなる性能向上に向けて、実環境を模した試験やシミュレーション技術の活用も視野に、開発が進められています。
年間36万人が犠牲に……二輪車事故のリアルと課題
世界保健機関(WHO)などの統計によると、世界で年間約36万人もの命が自動二輪車関連の事故で失われているといいます。都市部の渋滞回避やレジャー用途でバイクを選ぶ人が増える一方、四輪車に比べて装備面での「守られなさ」は常に指摘されてきました。
豊田合成が掲げる「移動するすべての人に安全を届ける」という理念のもと、今回のエアバッグ開発は“車載型”という点でも画期的。限られたスペースしかない自動二輪車に、どうやって十分な保護性能を持つエアバッグを搭載するのか――まさに日本のものづくりの底力が試される技術領域です。
バイク事故では、前方への投げ出し、ハンドルとの激突、転倒による地面との衝撃など、多方向からのリスクが想定されます。豊田合成は、四輪車で培ったセーフティシステムの知見を応用することで、これまでにない“次世代の乗員保護”を実現しようとしています。
まとめ
バイクに乗るすべての人にとって、安全性の進化は切実な関心事です。四輪車では当たり前の技術が、ついに二輪車にも――。豊田合成の挑戦は、モビリティの未来を変える第一歩になりそうです。
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