どうしてこうなった…… 悲運の名車? 自社開発の5ドアセダン! ダイハツ アプローズの生涯

どうしてこうなった…… 悲運の名車? 自社開発の5ドアセダン! ダイハツ アプローズの生涯

 今ではすっかり軽自動車からコンパクトカーのメーカーというイメージが定着したダイハツ。ただ2016年8月にトヨタの完全子会社となるまでは、さまざまなモデルをラインナップしていた。1989年に登場したアプローズもその一台である。前身のシャルマンと異なってダイハツ独自開発となったこの1台を今回は振り返ろう。

文:小鮒 康一/画像:ダイハツ

【画像ギャラリー】リアウィンドウとトランクが一体!? ダイハツが5ドアセダンアプローズに積んだ夢と希望の「スーパーリッド」!(2枚)画像ギャラリー

拍手喝采とはならなかったアプローズ

名前をちょっと変えてみたりフェイスリフトをしてみたりしたものの最終的には激レアさん枠に……。画像はフェイスリフト後のアプローズ

 拍手喝采や称賛という意味を持つ英単語を車名としたアプローズは、一見するとオーソドックスな4ドアセダンに見えるスタイルを纏っていたが、実はリアがウインドウ部分まで一体型で大きく開く「スーパーリッド」を備えており、分類上は5ドアハッチバックセダンとも言えるようなものとなっていた。

 搭載されるエンジンは、シャレードに搭載されていた1.3L SOHCエンジンをベースにロングストローク化を施した1.6Lで、インジェクション仕様が120ps、キャブレター仕様が97ps。

 今見ると大したことのないようにも思えるが、当時のシビックSiが搭載していた1.6L DOHCのZC型が130psだったことを考えれば、大衆車でありながらハイスペックなエンジンを搭載していたと言えるだろう。

 当時の自動車メディアの評価も上々で、実用的でありながらスポーティな走りを楽しむこともできるモデルという声もあり、実際全日本ラリーにアプローズ4WDがエントリーしている(これはプロモーションの意味もあったと思うが)。

ネガティブイメージもなかなか払拭できず……

名前をちょっと変えてみたりフェイスリフトをしてみたりしたものの最終的には激レアさん枠に……。画像はフェイスリフト後のアプローズ
名前をちょっと変えてみたりフェイスリフトをしてみたりしたものの最終的には激レアさん枠に……。画像はフェイスリフト後のアプローズ

 このように好調なスタートを切ったかのように思えたアプローズだったが、初期生産ロットにリコールが発生し、その後も燃料タンクの特性から吹きこぼしが発生し、運悪くそれが引火してしまうという事故も発生したことで、ネガティブなイメージがついてしまい、人気が急落してしまう。

 一度ケチが付いてしまった評価を覆すのはなかなかに難しく、1990年10月の改良時には車名を「アプローズθ(シータ)へと変更。ただし92年7月には再び「アプローズ」に戻った。

 1997年9月には大型のメッキグリルを備える大胆なフェイスリフトや、インパネを一新して2DINナビをコンソール上部に装着できるようにするなど、大幅な変更を実施したが、やはり販売が好転することはなく、2000年春に生産を終了。

 後継車種として登場したアルティスは、カムリのバッジを変更しただけのOEM車となってしまったのだった。

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