ホンダのハイブリッドカーとして3世代に渡って販売がなされていたインサイト。初代は3ドアハッチバック、2代目は5ドアハッチバック、3台目は4ドアセダンと代が変わるごとにボディタイプが変更されたが、すべてハイブリッド専売モデルという点は一貫していた。当然ライバルはトヨタ プリウスだが、初代は燃費性能で真っ向勝負を挑んでいた。
文:小鮒 康一/画像:ホンダ、トヨタ
【画像ギャラリー】NSXが! CR-Xが! シビックが! ホンダの名車要素がビンビンに感じられる初代インサイト! 見よこの空力の凄さ!!(16枚)画像ギャラリー燃費に全振りした初代インサイト
歴代インサイトの中でも初代モデルは、当時の量産ガソリン車として世界最高の燃費性能となるリッター35km(10・15モード燃費)を実現するためにさまざまな技術が投入されていた。
ボディはNSX譲りのアルミ合金を使った軽量なもので、リアシートを廃した2シーターモデルとすることで車両重量的に不利なハイブリッドシステムを搭載していながらも800kg台の軽量さを実現。
スタイルは往年のCR-Xを彷彿とさせるコーダトロンカスタイルで、リアには空力性能を向上させるリアホイールスカートを採用するなど、燃費に悪影響を及ぼす空気抵抗を徹底して低減することに注力され、Cd値は0.25を誇っていたのだ。
搭載されるパワートレーンは初代インサイト専用に開発された995ccの排気量を持つ直列3気筒SOHCエンジンにIMAと呼ばれるパラレルハイブリッドシステムを組み合わせたもので、ハイブリッドモデルとしては異例の5速MTが用意されていた。
この辺りはホンダらしいと思われる向きもあるが、実は前述の35km/Lという燃費性能は5速MT車での数値であり、ロスの少ないMTを燃費に振ったロングなギア比にすることでその数値を実現していたというワケなのだ(CVTモデルの燃費は32km/L)。
中古の懸念点はやっぱりパーツか……
2025年7月時点ではあるものの、中古は50万円くらいから狙える。とはいっても、それは最も安い部類の車両のことで、状態のよいものでは100万前後。MT車となるとさらに高いプライスが付けられることも珍しくない。
また登場からすでに25年以上が経過しているということもあり、補修部品の供給も厳しさを増している。専門店などのお世話にならないと維持も難しくなりつつある。
そして見た目はスポーティな2シーターハッチバックであるものの、実のところは前述の通り燃費性能に振ったモデルということで、往年のCR-Xのような走り味を楽しむものではないというのもポイント。
その辺りのキャラクターを理解した上でも欲しいと思えるのであれば、ホンダの歴史上エポックメーキングな1台であることは間違いないため、状態のよいものが狙えるうちに手に入れるという選択肢はアリと言えるだろう。


















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