日産が2025年3月に発表した日産とインフィニティ 両ブランドの新商品と新技術の投入計画において登場が明らかとなった新型「ローグPHEV」。協業関係にある三菱自動車からPHEV技術をうけて販売されるとのことで、北米市場で高まる電動化需要にようやく応えることができる北米日産のモデルとして、期待されている。
日産「ローグ」は、日本で「エクストレイル」として販売されているモデル。はたしてローグPHEVとはどんな姿なのか!?? 現時点わかっている情報をもとに考えてみよう。
文:吉川賢一/写真:NISSAN
【画像ギャラリー】新型「ローグPHEV」はどうなる!?? 北米で「ローグ」として販売されている日産「エクストレイル」(20枚)画像ギャラリー三菱はPHEV技術を、日産は生産設備をそれぞれ提供
米国市場に向けて、次世代EVやハイブリッド技術を搭載した新型車・マイナーチェンジ車を、インフィニティブランドを含めて10車種以上投入する計画を明らかにしている日産。新型ローグPHEVのほか、新型リーフや次期セントラ、改良型パスファインダー、インフィニティQX65投入の新規投入や、改良型QX60などが予定されており、2026年からはローグe-POWERの生産も開始されるという。
主要マーケットである米国市場における現在の日産ラインアップは、現時点ほとんどが純ガソリンモデルであり、電動化への対応は喫緊の課題とされてきた。今回のローグPHEV投入は、三菱のPHEV技術に頼るかたちとはいえ、その打開策として重要な一手となるだろう。
ちなみに、この話は三菱にとっても悪いものではなく、米国に自車の生産拠点を持たない三菱が今後、日産の米国工場を活用してSUVを現地生産する旨が(三菱の)2025年5月の決算会見で明らかになっている。三菱は近年、米国市場での販売を大きく伸ばしており、グローバル販売台数(約80万台)のうち2割を米国が占めるほどに成長しているものの、これまでは輸入に頼らざるを得なかった。自慢のPHEV技術を日産に提供することになる三菱だが、日産に生産設備を融通してもらえれば、米国販売での効率化を図ることができるわけで、両社の「協業」のメリットが存分に活かされた格好だ。
ローグPHEVの正体はアウトランダー!??
そうして誕生する新型「ローグPHEV」だが、日産が2025年3月の記者会見で公開した「ローグPHEV」のシルエット画像をみると、細く鋭いアイラインや、角張ったボディスタイルは、ローグというよりも、アウトランダーPHEVに近い印象。おそらく、ローグにPHEVシステムを搭載するわけではなく、「アウトランダーPHEV」をベースに、エンブレムなど一部を日産仕様に変更したモデルとなるのだろう。
ローグ(エクストレイル)とアウトランダーは、プラットフォームを共有する兄弟車ではあるが、日産と三菱それぞれがつくりこんだまったく別のクルマだ。搭載するバッテリーの容量が大きく違うため、運動性能に影響する前後重量配分や重心高などの諸元も異なる。
そのため、ローグにPHEVシステムを搭載するには、レイアウト検討や車両適合は必要だし、生産体制も整える必要がある。また、前述したように、三菱が今後、米国で販売するSUVを日産の米国工場で生産していくのなら、アウトランダーベースに統一しておいたほうが効率的でもある。アウトランダーベースでどこまで日産らしさが出せるのかを期待したいところだ。PHEVであることを活かしたNISMOバージョンというのもいいかもしれない。
なお、現行アウトランダーPHEVは、2024年10月31日に大幅な改良を受けている。リチウムイオンバッテリーが刷新され、容量は従来比で約10%増の22.7kWhに。これによりEV走行距離は、Mグレードで従来の87kmから106kmに、その他グレードでも83kmから102kmへと、およそ20km延びている(いずれもWLTCモード)。さらに、PHEVシステムの最高出力も約20%向上し、加速性能や静粛性も大きく改善されている。この仕様が、そのまま北米向けの新型「ローグPHEV」にも採用されることになるだろう。

























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