世界に1台だけ——ロールス・ロイスが発表した「ファントム・ダンテル」は、レース刺繍から着想を得た壮麗なビスポークモデル。中東の顧客による個人的な贈り物として制作され、その内外装は美術品の域に達している。贅を極めたラグジュアリーの真髄とは?
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
【画像ギャラリー】唯一無二の芸術車! ロールス・ロイス「ファントム・ダンテル」に見る究極のラグジュアリー(6枚)画像ギャラリークルマを超えた“動くアート”——ファントム・ダンテルの衝撃
「芸術は爆発だ」という言葉もあるが、ここにあるのは“静けさのなかに宿る圧倒的な美”。ロールス・ロイスが2025年7月3日に公開した「ファントム・ダンテル(Phantom Dantelle)」は、ただのクルマではない。クチュールレースにインスパイアされた刺繍と装飾が随所にあしらわれた、まさに“動くアートピース”だ。
このファントム・ダンテルは、ドバイのプライベート・オフィスで特別に手配された一台で、オーナーが父への贈り物として制作を依頼したという。つまり完全にワンオフ、世界に一台しか存在しないモデルだ。
■ 内装:16万針超の刺繍で描かれた“レースの物語”
注目すべきはインテリアに施された刺繍の精緻さだ。フロントのギャラリー全体に広がる刺繍は、合計16万針以上を費やし、花やシダ、レースの質感を繊細に表現。トリプルランステッチ、サテンステッチなど8つの刺繍技法を駆使し、柔らかな光沢すら再現しているというから驚きだ。
リアシート中央の「ウォーターフォール・セクション」にも約7万針分の刺繍が施され、車内に一貫した芸術的コンセプトが貫かれている。まさに、座るたびに感性を刺激される“特等席”だ。
さらに、レザーはサンライズとグレース・ホワイトの2色で統一され、ヘッドレストには「RR」モノグラムの刺繍が光る。仕上げにはピアノ・ホワイトのベニアを使用するなど、どこまでも上質。
■ 外装:手描きの真珠の「実」を持つ葉の枝モチーフ×ローズゴールドの輝き
エクステリアも抜かりない。専用カラーで仕上げられたボディは、上部に「クリスタルのパレ・ネマスカ・ドーン」、下部には「アークティック・ホワイト」を配置。これにサンライズの手描きコーチラインが重なり、葉の枝に真珠の“実”をあしらったモチーフがインテリアと呼応する仕掛けだ。
センターにアークティック・ホワイトのピンストライプが入った22インチディスクホイール、ポリッシュ仕上げのパンテオングリル、そしてローズゴールドのスピリット・オブ・エクスタシーが、静かなる威厳を放っている。
こうした細部へのこだわりこそが、ロールス・ロイスの真骨頂。「動く宝飾品」とは、まさにこのクルマのための表現だろう。
■ 世界の富裕層に応える「プライベート・オフィス」の存在感
このファントム・ダンテルを生んだのは、ロールス・ロイスが展開する「プライベート・オフィス・ドバイ」。完全予約制で、同ブランドの熟練デザイナーやエクスペリエンス・マネージャーと直接やり取りしながら、自分だけのクルマを形にできるサービスだ。
現地にいながら英国グッドウッドの“ホーム・オブ・ロールス・ロイス”の雰囲気を体験できるこの空間は、近年アジアや中東などの新興マーケットで急成長する超富裕層に対し、ブランドの世界観を浸透させる場として注目されている。
まとめ
ファントム・ダンテルは、もはや自動車の枠を超えた“芸術品”。ここまで徹底的に個人の想いをカタチにできるのは、ロールス・ロイスというブランドだからこそ。クルマの未来は、機能だけでなく「表現」でも語られる時代に入っているのかもしれない。








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