日産に逆風が吹き乱れている。エスピノーサ社長の追浜工場での生産終了など、日産を取り巻く環境は依然として厳しいが新型車のスケジュールが立っているのはまだ救いだ。しかし日本向けモデルとして重要な1台の情報がなかなか出てこない。それがキックスだ。
文:ベストカーWeb編集部/写真:日産、ホンダ
【画像ギャラリー】コンパクトSUVこそ日本に必要でしょ! 見れば見るほど国内導入して欲しくなる北米キックス!(21枚)画像ギャラリーe-POWER専売でガッカリだった現行型
日産のラインナップのなかでちょっと異端なのがキックスだ。ブラジルやタイなどで一定の人気を得ていたクロスオーバーSUVだが、ガソリン車は2016年にブラジルで登場している。
2020年にタイ向けにe-POWERを搭載し、同年に日本に導入されるキックスについてはe-POWER専用車種となった。
プロパイロットの標準装備など安全面にも打ち出したモデルだったが、当然ながらその価格は高くなってしまった。スタート価格は275万9900円。ライバル「ヴェゼル」のハイブリッドモデルXが276万186円と考えれば、妥当にも思える。
しかしヴェゼルは211万円からガソリンモデルのエントリーグレードを備えており、最終的にハイブリッドを購入するにせよ購入者への敷居はグッと下がっていた。
キックスがe-POWER専売というかなり大胆な戦略をとった事情としては、タイでの生産ラインの関係や、日産がe-POWERを大々的にプッシュしていたことなどもあるのだが、マーケティング的にもう少し廉価なガソリン仕様がないことへの違和感がなかったのか不思議だ。
そして樹脂が目につく内装の雰囲気など、300万円に迫るSUVとしてはちょっと物足りなかったのも事実。e-POWERの走りのよさをアピールする前に「わかりやすい」消費者へのアピールが必要だった。このあたりがいかにも日産ぽくて愛おしいのだが……。
圧倒的質感の新型なら国内ライバルも真っ青だ
現行型についてはそれでも一定のセールスを記録しているが、爆発的なセールスを期待するにはやはり新型の登場に待ったなしだ。ベストカーWebとしても確実な情報はないのだが、実は2025年4月に日産が2026年度に国内展開する4つの車種を発表している。
エルグランド、ルークス、リーフはすでに判明していたが、第4の車種としてキックスらしきシルエットが浮かび上がった。これを信じるのならばキックスは国内展開されるはずだ。
北米などではガソリン専用車として登場しているキックス。しかし国内展開時にe-POWER仕様が用意されるのは十中八九間違いない。そしてガソリン仕様が用意されないのも時代の潮流としては合っているだろう。
もちろん圧倒的量産効果を発揮しているヤリスクロスの価格に迫るのは難しいと思うが、もうひとつのライバルのヴェゼルはe:HEVの中間グレード「Z」で319万9800円。新型キックスは現行が308万円スタートを考えるとスタートプライスは330万円ほどに上がっていくだろう。
だからこそガソリン仕様をモノグレードでいいから入れてほしい。もちろんコストをかけられないのが現状の日産なことも理解するが、それであれば「売り方」をしっかりするしかない。
厳しくても売れると思いたい
ただ日産とホンダの違いは受け皿の有無だ。日産は上級車種にエクストレイルがいるが、受け皿がなく、ホンダのWR-VのようなリーズナブルなSUVの存在がない。
元はと言えばジュークとエクストレイルの間を狙ったと言われるキックスだけに、現状のラインナップはやや厳しいところ。
それでも先進的なイメージのキックスはエクステリアも非常にかっこいいし、内装だってファブリックの使い方が非常にうまい。
もちろんe-POWERだってノートからのスライドであれば走りの面では心配はしていないし、あとはリーズナブル(理由のわかる)な価格であれば日本でも絶好調の販売を見込めるはず。
いま日産に必要なのはエルグランドよりもキックスだ。もう少し姿、形を日本でも見せてほしいところだ。あとは値付けなど売り方を間違えないようにだけ。顧客の視点にかなった売り方はできるはず、頑張れ日産!!
























コメント
コメントの使い方e-POWERだからキックスを買った。
e-POWERじゃないキックスにニーズあるのか疑問
それはあるけれど車に興味の無い消費者にも届くようにガソリン車もあるといいと思う(e-POWERの走りの良さ以前にコスト差をどうやって償却するのか躍起になってる人達向け)