1980年代のクルマに多く採用され、当時は未来感あふれる装備として人気が高かった「サテライトスイッチ」。サテライトとは衛星を意味するが、転じて「本体から離れて存在する、中心的なものの周りにあるもの」などの意味でも使われる。つまりサテライトスイッチとは、ドライバーが常に握っているステアリングを本体とし、その周りにスイッチを配したスタイルというワケなのだ。
文:小鮒 康一/画像:いすゞ、トヨタ、日産、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】いまはすっきりタッチパネルで済んじゃう? でも昭和はスイッチの多さにハイテク感あったのよ!(20枚)画像ギャラリー使い勝手は二の次? とにかくスイッチを集めていたサテライトスイッチ
最近のクルマには、ステアリングのスポーク部にオーディオのコントロールスイッチやクルーズコントロールのスイッチが備わっていることが多く、広義で言えばこれもサテライトスイッチの中に含まれるとも言えるのだが、1980年代のものはステアリングではなく、メーターナセルの周りに備わるのが一般的だった。
比較的知名度が高いと思われるのが、AE86の型式でも知られる(AE85も同様だが)スプリンタートレノ/カローラレビンで、メーター左右に備わるエアコン吹き出し口の下にライトスイッチ(右側)とワイパースイッチ(左側)がダイヤル式で備わっていた。
そのため一般的なワイパーのレバーは備わらず、右側にウインカーレバーのみが備わっていたのだが、使い勝手が向上していたかどうかは微妙なところだ。
もはやネオクラといえばサテライトスイッチ!?
そんなサテライトスイッチの究極系とも言えたのが1981年に登場したいすゞ ピアッツァ。なんとメーターの左右に27個(カタログ上でのカウント)ものスイッチが備わっており、ワイパーやライトのスイッチは当然として、エアコンの温度や吹き出し口、風量やメーターの切り替え、照度コントロール、極めつけはオーバードライブスイッチ(AT車のみ)までも存在していた。
なお、エアコンの操作系もサテライトスイッチに集約したモデルとしては他にもZ32型のフェアレディZなどが存在している。ただ、一般的な車種と異なり、センターコンソール部にエアコンの操作系が備わっていないため、助手席の人が設定を変えるのが一苦労といった難点などもあった。
そういう点も考えると、サテライトスイッチというのは使い勝手というよりは見た目のインパクトを優先したものということになるが、クルマ好きの多くは無駄に多く備わるスイッチやメーターに心躍るのだから仕方のないことだったのである。






















コメント
コメントの使い方当時東海理化の下請けで、このサテライトSW作ってました。
ギャラン・シグマのFF初代のサテライトスイッチが良かった。あと初代のアルシオーネも。