自動車リサイクルの新たな一歩として、クラウン(スポーツ)のフロントフェンダーシールに、ASR(自動車破砕残さ)由来の再生プラスチックが国内初採用されました。廃棄されていた樹脂が高品質素材として生まれ変わる、この革新的な技術を解説します。
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
【画像ギャラリー】クラウンスポーツに初採用! ASR由来再生プラの革新(3枚)画像ギャラリー廃棄から再生へ――クラウンスポーツが切り開く新時代
自動車リサイクルの現場では、車両解体後に残る「ASR(Automobile Shredder Residue)」の処理が長年の課題でした。金属以外のプラスチックや繊維、ゴムなどが混在し、材質ごとの分別が難しいため、多くが焼却処分(熱回収)に回されていたのです。
しかし今回、豊田通商グループの株式会社プラニックが製造するASR由来の再生プラスチックが、国内のトヨタ車として初めてクラウン(スポーツ)のフロントフェンダーシールに採用されました。この採用は、単なる環境配慮の枠を超え、自動車産業の資源循環モデルを大きく前進させるものです。
欧州発技術を国内初導入、高品質リサイクルを実現
プラニックは、豊田通商と小島産業(小島プレス工業グループ)が出資する、国内最大級の再生プラスチック製造事業会社です。最大の強みは、欧州で実用化された高度比重選別技術を日本国内で初めて導入し、異なる樹脂を高精度で分離できる点にあります。
これにより、従来は困難だったCar to Carリサイクル(使用済み車から回収した部品を新車部品に再利用)が可能に。再生されたプラスチックは「コンパウンドペレット」と呼ばれる高品質原料として新車製造ラインへと送り込まれます。
豊田メタルとの連携で業界トップの回収率
原料となるASRプラスチックは、豊田通商グループの豊田メタルをはじめ、全国のASR再資源化施設や家電リサイクルプラントから回収。豊田メタルはASRリサイクル率ほぼ100%を達成し、樹脂回収率も国内トップクラス。これらのネットワークが、安定供給と品質維持を支えています。
クルマ好きが知っておきたい「資源循環」の未来
今回のクラウン(スポーツ)での採用は、環境意識が高まるなかでの象徴的な動きです。今後は他車種や部位への展開も期待され、メーカーにとっては持続可能な生産体制の強化、ユーザーにとっては環境負荷低減への直接的な貢献が可能になります。
ベストカーWeb編集部として注目したいのは、この技術が「エコのための妥協」ではなく、「品質と環境配慮を両立」している点。高級車クラウンへの採用は、リサイクル素材がプレミアム領域にも通用することを示す好例です。
まとめ
クラウンスポーツが示したASR再生プラ採用は、環境対応と品質の両立を象徴する革新でした。今後の広がりに期待です。





コメント
コメントの使い方バッテリー回収&リサイクルもそうだし、これもそう。
環境やエコを真に意識した取り組みというのは、EVゴリ推しじゃなくトヨタが昔からやってきたこういう活動の方が、説得力ある。
他メーカーも追従してほしい。子の老後や孫世代も車に乗り続けられる世界のために