WRC2025は夏の北欧2連戦から一転、季節が真逆となる冬の南米2連戦へ。冬の2連戦を制したのは41歳の大ベテラン、セバスチャン・オジエ。現在パートタイマーとしてスポット参戦中のオジエだが、このまま連続参戦で王座戴冠か!?
※本稿は2025年9月のものです
文:国沢光宏/写真:Red Bull、TOYOTA GAZOO Racing
初出:『ベストカー』2025年10月26日号
今季8戦5勝で9度目のタイトルが見えた!?
今シーズンから「夏の北欧2連戦」に続くのは「冬の南米2連戦」になった。意外なことに開幕戦のモンテカルロとスペイン・カナリア諸島の2戦を除き、11戦目のチリまですべて雪かグラベルである。
ツールドコルスやカタルニアがなくなり、ターマックラリーファンとしては少しばかり寂しい。加えてコントロールタイヤになったハンコック、データ不足のためトラブル続出中。タイヤガチャで勝敗が決まるケースも多い。波乱のシーズンといってよかろう。
そんななか、大ベテランであるオジエがチリを終わってポイントリーダーになった。
説明するまでもなくオジエは2022年シーズンから「自分の時間を大切にしたい」ということから半分引退して「好きなラリーだけに出場する」というパートタイマーを選び、2025年シーズンは7戦程度出場すると思われていた。
されど開幕戦で優勝。続く2戦をスキップしたが、スペインで2位。ポルトガル、イタリアは優勝してしまう。
こうなると寝た子が起きてしまう(笑)。フィンランドで3位。この時点でシリーズ1位のエバンスと13ポイント差。もはや南米2連戦に出ない理由などない。
そして迎えた第10戦パラグアイ。デイ1はタイヤガチャでハズレを引き4番手だったものの、デイ2で上位陣がハズレを引きまくった結果、トップに出るやエバンス以下を抑えて逃げ切り優勝。
多くのドライバーがハンコックのタイヤ特性に悩まされるなか、オジエはしっかりと性能を上手に引き出せているようだ。
続くチリはポイントランキング3位のため路面掃除役となる3番手スタートというハンデを背負う。
厳しいと思われたが、デイ1を終わってTOPのフォルモー(ヒョンデ)に遅れることわずか2.3秒!
パラグアイと同じくデイ2でトップに出て、エバンスを振り切り連勝。シリーズポイントはロバンペラだけでなくエバンスまで抜き1位に! 残るは3戦。チャンピオンを狙わないワケがない!
気が付けばすでに8戦を走っている。次のセントラルヨーロッパと日本も当然ながらエントリーしてくると思う。もしかすると日本でローブと並ぶ9回目のシリーズチャンピオン獲得になるかもしれない。
2025シーズンのオジエを見ていると、引退をウワサされていたが来シーズンもパートタイマーで走るんじゃないかと思えてきた。
いずれにしろオジエはトヨタをかつてないほど気に入っているようだ。2025年のように前半戦中心にしておき、勝ったらそのままずるずる参戦していくのはいかがか?
南米では不調の勝田……残り3戦巻き返しを
フィンランドで素晴らしい速さを見せ2位に入った我らが勝田はどうだったか。
どうやら南米のコースと相性がよくないらしく、好成績という流れにはならず。ただ2番手タイムを出したチリのSS14(デイ3)の走りを見ると、誰よりも踏んでいたし、クルマのコントロールだってできていた。
今の勝田に必要なのは「なんかのきっかけ」だと思う。一度ポディウムの真ん中に立っちゃえば、その後はガンガンいけると思います。もちろんラリージャパンがその時だとしたら最高です。



















コメント
コメントの使い方WRC最多優勝回数でローブを超えるかもしれないオジェ。唯一将来的に可能性があったロバンペラがラリー引退で、もう真似できない大記録になることが有力。
当然全力で優勝獲りにくるでしょう。今年それを成せば、この先二十年は最高のラリーストとしての実績が残り続けるのですから