2022年の東京オートサロンで世界初公開されたTOYOTA GAZOO Racingの「GR GT3 Concept」。低く構えたシルエットと巨大なリアウイングを備えた姿は、まさに本気のGTマシンそのものでした。
あれから3年、いよいよそのロードカー版が動き出したようです。2025年10月10日、「スーパーフォーミュラ」(富士スピードウェイ)の会場内でこのGR GT3 Concept のロードカー版らしきモデルが入った看板が掲出されたほか、10月13日配信の「トヨタイムズ」の中ではそのエンジン音らしき音も流されたのです。
GR GT3 Conceptとは何者なのか、そして市販化への動きを振り返ります。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA GAZOO Racing、エムスリープロダクション
【画像ギャラリー】まさに本気のGTマシンそのもの!! 2022年の東京オートサロンで世界初公開されたTOYOTA GAZOO Racing 「GR GT3 Concept」(10枚)画像ギャラリー「レーシングカーそのもの」のスタイル
2022年1月、東京オートサロン2022のトヨタブースで初公開された「GR GT3 Concept」。長く伸びたフロントノーズに、スワンネックで吊り下げられた大型リアウイング。その姿は、量産車ベースのチューニングモデルというレベルではなく、まさにレーシングカーそのものでした。
ワイドなフェンダーや空力重視のカナード、そして全長4590mm×全幅2040mm×全高1140mmというディメンションからも、純粋なGTレーサーとして設計されたコンセプトモデルであることがうかがえます。さらにエンジンフード後方の排気ダクト形状などから、BEV(電気自動車)ではなく、エンジンを搭載したパワートレインであることも確認できます。
また、「GT3」という名称から、このモデルはFIA GT3規定に則ったレーシングカテゴリーを想定していることもわかります。GT3は、ル・マン24時間レースをはじめ、WEC(世界耐久選手権)や日本のSUPER GT、スーパー耐久レースなど、世界中の耐久レースで採用されている人気のカテゴリ。市販車をベースとすることが参加条件である点も特徴です。
次世代GT3参戦を見据えて開発した「本気の一台」
このGR GT3コンセプトについては、そのスタイリッシュなデザインから「レクサスLFAの後継では?」という噂がありました。確かに、ロングノーズ×ショートデッキの美しいプロポーションや、高性能エンジンを想定したようなパッケージングは、スーパースポーツ然としています。
しかし、もしLFA後継車であるなら、より大規模な国際モーターショーでの発表が自然でしょう。国内イベントである東京オートサロンでの初披露は、次期LFAのコンセプトカーとしては、少々物足りないデビューです。
当時、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)はこのコンセプトカーについて、「TGRは、モータースポーツ業界をサステナブルにしていくために、カスタマーモータースポーツ活動の取り組みをさらに加速させます。ドライバーファーストのクルマづくりを推進し、カスタマーモータースポーツの最高峰であるGT3のお客様に選んでいただけるような魅力的なクルマをご提供したいという思いで「GR GT3 Concept」を発表しました。」としていました。
さらにTGRは、「モータースポーツ用の車両を市販化する、という逆転の発想で、TGRがモータースポーツの現場で得た知見、磨いてきた技術をGT3車両開発だけではなく量販車開発でも生かし、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」をさらに推進していきます。」ともしており、このGR GT3 Conceptはトヨタが次世代GT3参戦を見据えて開発した本気の一台であることがうかがえます。













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