一部の車種をのぞけば、現在日本の軽自動車は多くがスーパーハイトワゴンだと言っても過言ではないだろう。そうした背の高い軽ワゴンに人気が集まる理由はいくらでも考えられるが、一方でただ背が高ければよいというワケでもない。かつてダイハツには同社のタントや軽自動車の覇者N-BOXをはるかにしのぐ全高がウリのモデルがあった。
文:小鮒康一/画像:ダイハツ
【画像ギャラリー】高ければいいということでもなかった!? いわば超スーパーハイト軽ワゴンなダイハツの意欲作ウェイク!(15枚)画像ギャラリー背が高けりゃいいってもんじゃなかった!?
現在、軽自動車の主流となっているのがスーパーハイト軽ワゴンと呼ばれるジャンルのモデルで、ボディサイズに制限のある軽自動車の室内空間を広く採るためには背を高くすればいいのでは、という発想で生まれたものだ。
今はホンダN-BOX、スズキ スペーシア、ダイハツ タントの3車種がしのぎを削っており、この車両はどれも1700mm台の全高が主力となっているが、それならもっと全高を高くすればいいのでは? という発想で生まれたのが2014年11月に登場したダイハツ ウェイクだった。
1800mmを優に超える全高を持っていたウェイク
タントのプラットホームを用いて生まれたウェイクは、1835mmというタントよりも85mmも高い全高を持っており、室内高はクラストップの1455mmを実現していた。
この前身となったのが2013年の東京モーターショーに参考出品された「DECA DECA(デカデカ)」というモデルで、全体のルックスはウェイクと似通っていたものの、ドアがピラーレスの観音開きタイプとなっていたのが大きな違い。
当時は実際にピラーレスも検討されたようだが、ボディ剛性の面での不安がぬぐい切れず一般的なピラーを持つ両側スライドドア車となったとのこと。
そんなウェイクだが、タントを超える全高を持つものの当然全幅はこれ以上広げることができないため、横転を防ぐためにロントアブソーバーロッドやリアアブソーバーのサイズアップなどによる高剛性化や、ウレタンバンプスプリングやスタビライザーを備えることでコーナリング時のロールを抑制する手法が採られた。
高さを得て乗り心地は犠牲に……
その結果、乗り心地はなかなかにハードなものとなってしまい、特にリアタイヤの真上に座るような形になるリアシートでの突き上げ感が顕著になってしまうというデメリットが生まれてしまったのだ。
また車両価格も同クラスの装備を持つタントに比べて10万円前後高くなってしまっており、それならタントでいいのでは? と同門同士で顧客を食い合ってしまったのも誤算だった。
そんなウェイクの苦戦から何とか開発費を回収しようとしたのかどうかは不明だが、2016年6月にはウェイクをベースにリアシートを取り払って荷室とした商用モデルの「ハイゼットキャディー」が追加される。
しかしこちらは乗用モデルベースということもあってか最大積載量は150kgに留まり、2018年には近いコンセプトのN-VANも登場することでわずか7000台弱の販売に留まってしまった。


















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